いじめ撲滅に本気で乗り出した文科省と、教育現場の呆れる本音

 

ただ、この変革はまだまだ始まったばかりでもあります。現に今回の調査結果でも、いじめ認知件数は地域によって大きな差がみられました。児童生徒1,000人あたりの認知件数は、宮崎県が108.2人であるのに、最少の佐賀県は8.4人となっています。ちなみにも全国平均では30.9件となっており、前年度23.8件よりはやや増えたという程度です。全国の児童生徒数に宮崎県の認知件数の割合を掛け算すれば、約150万人の子供がいじめの被害にあったことになります。

今回から政令指定都市ごとのいじめ認知件数も公表され、新潟市では1,000人あたり258.3人との数字が出ています。これを全国に当てはめると、350万人を超える子がいじめられたことになります。

「4分の1以上の子供がいじめ被害にあっている驚くべき数字だ」と感じる方も多いことだと思いますが、「実態を反映しないいじめ認知件数では意味がない」と何年も訴え続けてきた私たちとしては、ようやくここまで来たかという気持ちです。新潟市の教育委員会は、よくここまで踏み込んだものだと称賛に値する姿勢だと思います。一方、全国の学校のうち、4分の1の学校が「いじめゼロ」と回答している現実が示すようにこの流れに逆らうような姿勢をまだ保ち続けている学校も少なくありません。

いじめ防止対策協議会を傍聴しての感じですが、委員の皆様も私たちと同意見の方が増えているように感じました。少し前にはこの「いじめ防止対策協議会」においても、「そんなことでは現場の教師が委縮する」、「教師は俺たちを信用できないのかと言っている」などの教師側の立場としての意見もかなり出ていたのですが、教師側、学校側を擁護するような意見はほとんど影を潜め被害者や保護者の立場に立った意見が数多く聞かれました

いじめ認知件数についても、「都道府県だけではなく、教育委員会ごとの認知件数の資料はあるのか。認知件数が少ない教育委員会には視察に行き、いじめを認知する場合の定義など徹底してはどうか」という意見もありましたし、「いじめゼロ」と回答している学校ついて「まだ、4分の1の学校がいじめを認知していないではないか」と批判的意見もありました。

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