交渉のプロが解説。米が北を攻撃しても中ロは非難に留まる理由

 

【ケニア・ナイロビのテロ事件とソマリアとの武力衝突の危機】

同じくアフリカで再燃してきた懸念ですが、1月16日にケニアの首都ナイロビの高級ホテルがテロ事件の舞台となり、外国人を含む多数の死傷者が出ました。ちょうどナイロビに本部がある国連環境計画で大規模な国際会議が開催されており、私の友人も多数出席しているため大いに心配しましたが、おかげさまで被害者には含まれませんでした。

今回のテロを主導したのは、隣国ソマリアのテロ組織(ISやアルカイダとのつながりが指摘されているグループ)だったようですが、この組織は常に「ケニアにいる欧米人に対するテロ攻撃」を計画してきた存在で、私が2006年以降にナイロビを訪れる度に、テロ予告が寄せられており、たまたま私が滞在していない時期にこれまでにも何度もテロを実施してきていますが、ついに大規模な攻撃を仕掛けたようです。

「またか…」というのが現地の最初の反応でしたが、規模が大きく、かつ被害者に多くの外国人が含まれることから、ケニア政府は非常に事態を重く受け止めざるを得なくなり、隣国ソマリアへの武力介入も辞さないとの立場を取るようになってきました。本来ならば、ソマリア政府への厳重抗議というのが外交上のプロトコールですが、ソマリアには正常に機能している政府組織がないため、テロリストの温床になっています。

ついにケニア政府の堪忍袋の緒が切れるとき、長年安定を保ってきた東アフリカが再び戦火に見舞われる恐れが出てきます。ケニアと言えば、日本の友好国で、多くの企業もアフリカ投資の拠点としていますから、必然的に打撃を被ることになりますし、駐在員の安全確保を急がなくてはならない事態が近づいています。

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