交渉のプロが解説。米が北を攻撃しても中ロは非難に留まる理由

 

その影響をもろに受けているのが、シリア情勢とイラク国内の治安です。シリアで行われている内戦については、今回はあえて触れませんが、両国で行われているイランによる様々な工作は、両国における“平和”を遠ざけるファクターになっています(シーア派とスンニ派、アラウィー派間の対立を煽っている)。

そして、シリアそのものが、長年、ヒズボラの影響もあって、イスラエルにとっての敵国と認定されており、何度もイスラエルとのミサイルの撃ち合いが起こっていますが、同時にヒズボラと対峙する(実際は仲良しとの噂もあるが)アサド政権を静かに支援するという微妙な関係にもあります。

そこにアサド政権の公式サポーターであるイランとの別の緊張関係が生じています。おかげで、イラクにもシリアにも、しばらく安定と和平が訪れることはないかと思います。

そして、サウジアラビアもイランとアラビア半島の至る所で対峙しています。その最たるものがイエメンで起こっている権力闘争を用いた両国の代理戦争でしょう。もう数年にわたり、それぞれが支援するグループ間での紛争が続いていますが、まだ決着は見えず、それどころか影響が周辺国にまで飛び火するという事態に陥っています。

どんどん混乱を極める中東地域ですが、そのすべての懸念の鍵を握っているのがトルコです。イスラエルとも比較的友好的な関係を保っていますし、知っての通り、対米反抗やシリア情勢では、イランの後ろ盾ともなっています。

そして昨年起きたサウジアラビア人記者カショギ氏の殺害事件を巡って、対サウジアラビアで非常に大きな秘密を握っているとされています。そのトルコが、今後の中東の勢力地図をどのように書き換えるのか。非常に不気味な存在だと言えます。

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