できるだけ報じたくない。読売の本音が透けて見えた沖縄県民投票

uttii20190225
 

2月24日に行われた、普天間飛行場の辺野古移設の是非を問う沖縄県民投票。投票率は5割を超え、実に7割以上の全県有権者がNOを突きつけた結果となりましたが、その民意は反映されるのでしょうか。これまでもたびたび県民投票について取り上げてきたジャーナリストの内田誠さんが、自身のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』で新聞各紙の伝え方を紹介するとともに、新基地問題の今後を考察しています。

沖縄県民投票を新聞各紙はどう伝えたか

ラインナップ

◆1面トップの見出しから……。

《朝日》…「辺野古『反対』72%」
《読売》…「適量ですか 高齢者の薬」
《毎日》…「辺野古反対7割超」
《東京》…「辺野古反対 7割超」

◆解説面の見出しから……。

《朝日》…「辺野古移設 明確な『NO』」
《読売》…「投票率52% 広がり欠く」
《毎日》…「沖縄 民意の盾」
《東京》…「単一争点 政府に圧力」

ハドル

当然ですが、「辺野古」が圧倒的です。《読売はかなり異彩を放っていますが、解説面では大きく取り上げていますので、これをテーマにしましょう。


基本的な報道内容

普天間飛行場の移設に名を借りた名護市辺野古での米海兵隊新基地建設を廻り、埋め立ての賛否を問う沖縄県民投票が行われ、「反対72.15%、「賛成19.10%、「どちらでもない8.75%という結果だった。投票率は52.48%と低かったが半数を超え、「反対」は宜野湾市を含む全41市町村で最多、合計43万4,273票となり、投票資格者総数の4分の1に当たる28万8,398票を大きく上回り、玉城デニー氏が昨年9月の県知事選で得た過去最多の39万6,635票をも越え、辺野古の海埋め立てに対する県民の強い反対の意志が示された。玉城知事には、安倍晋三首相とトランプ米大統領に対して結果を通知する義務が生じることになった。知事は政権に工事中止を迫るとしているが、政権はこれまでのところ無視を決め込んでいる

政権に必要なのは「謙虚に省みる」こと?

【朝日】は1面トップに2面の解説記事「時時刻刻」、4面に出口調査を分析した独自記事、10面社説、28面写真特集、31面社会面まで。見出しから。

1面

  • 辺野古「反対」72%
  • 玉城氏「工事中止を」
  • 投票率52.48% 知事選の得票超す
  • 移設計画 惰性任せの政権(視点)

2面

  • 辺野古移設 明確な「NO」
  • 43万票超 知事「極めて重要な意義」
  • 県、軟弱地盤の問題突く
  • 政権、結果「無視」の構え
  • 本土に住む人が考える番だ

4面

  • 政府の姿勢「評価せず」79%
  • 沖縄県民投票 全年代で「反対」多数
  • 出口調査分析
  • 野党は政府批判 「結果受け止めを」

10面

  • 沖縄県民投票 結果に真摯に向き合え(社説)

31面

  • 沖縄から重い意思
  • 熟慮の反対「受け止めて」
  • 全41市町村で反対多数 名護73% 宜野湾66%
  • 「基地のこと話そう」若者が動いた

uttiiの眼

1面トップの最後に付けられた編集委員佐藤武嗣記者による「視点」は、「普天間返還の対米交渉に心血を注ぎ、沖縄とひざ詰めで向き合った」橋本龍太郎首相(当時)と安倍政権とを比較。現政権が「県民投票に先駆けて辺野古の土砂投入を強行。既成事実化を図り、県民投票前から、結果によらず埋め立て続行の考えを示してきたと批判。また、県民投票では「自主投票によって組織的運動をしなかった」ことを非難し、「計画見直しもせず、かといって県民を説得しようとの意思も欠いたまま、ただ惰性に任せているだけ」と難じている。

そして、安全保障の問題だからと言って地元を無視して良いわけではないこと、鳩山政権の失敗でいかに政治的リスクが高いかが明らかになり、安倍氏にトランプ氏と交渉しきる力はないことなど、重要な論点を重ねている。しかし、結論は「せめて自治体と向き合い、自らを『謙虚に省みる』姿勢が政権には必要だ」と弱々しい。こんなことを言うだけでは、それまでの立論が台無しになってしまうように感じる。本当に自らを謙虚に省みて、民意に従うのであれば、これは埋め立て計画のとりあえずの中止しかないではないか。

《朝日》はこの県民投票でも出口調査を試みている。4面記事は、投票した人の79%が安倍内閣の沖縄の基地問題に対する姿勢を「評価しない」と答え、さらにその85%が埋め立てに「反対」票を投じていたとしている。また、全市町村で反対が上回っただけでなく、すべての年代でやはり「反対」が多数となり、30代以下でも6割、年代が上がるほど「反対」への投票率が上がる結果となっている。さらに、自民支持層の45%公明支持層の55%無党派層では実に79%が反対」している。

この県民投票で示された民意の意味するところは明らかだろう。「どちらでもない」が選択肢に加えられても、「反対」が多数となることは確実視されていた。しかし、「反対」に投票した人は有資格者数の4分の1を大きく越え、玉城デニー知事の得票数をも大きく上回った。自公のだんまり作戦にもかかわらず、投票率は50%を越え、「反対」は全市町村で、全年代で賛成を上回る結果となった。勿論、政府に対する法的な拘束力はないが、そうであるがゆえに、安倍政権は自分の意思で何かをしなければならなくなったとも言える。軟弱地盤の問題などでいずれは裁判所の判断が必要になる局面も出てくるかもしれないが、そのとき、裁判官の心証にこの県民投票の結果が影響するかもしれない。その他、様々な場面で、この圧倒的な結果が効いてくる可能性があるだろう。

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