できるだけ報じたくない。読売の本音が透けて見えた沖縄県民投票

 

盛り上がりに欠けた県民投票?

【読売】は1面トップを外し、中央にベタ記事並みの小さな本記。関連で2面と3面。見出しから。

1面

  • 辺野古埋め立て「反対」71% 県民投票

2面

  • 沖縄米基地「役立つ」59%
  • 辺野古 賛成36%・反対47% 本社世論調査
  • 内閣支持横ばい49%

3面

  • 投票率52% 広がり欠く
  • 沖縄県民投票
  • 「反対」最多 影響は限定的
  • 政府、工事推進へ

uttiiの眼

またまた《読売には恐れ入った。1面トップには《読売》得意の医療ものコラムの第1回を持ってきている(「安心の設計」)。

続いて違和感をもったのは、《朝日が72.15%としている反対の投票率を、《読売が71・73%としていること。これは、《読売》が母数に「無効・その他」の3,506票を含めているから。《朝日》は含めずに、3つの選択肢に投票した人の総計を100%として計算している。《朝日》にせよ《読売》にせよ、このようなケースでの無効票の扱いは一貫しているのか否か、分からない。少なくとも、両社の数字は違っていて、《朝日》が72%、《読売が1ポイント低い71%としている事実を確認しておく。

今朝の《読売》はこの問題での関連記事も薄く、「できるだけ報じたくないという本音が透けて見えるようだ。しかも、報じた中身は県民投票の意義を少しでも小さく見せようという努力の結晶”とでもいうべきもので、そのエッセンスが昨日までに行われた全国世論調査の結果として2面記事に書き込まれている。もし、沖縄県民投票が先に行われていれば、おそらく全国世論調査に影響を与えただろう。投票結果が出る前に調査を終えることを、《読売が意図したのではないかと想像するが、勿論、証拠はない。

「証拠」ではないが、見出しに現れた世論調査の「結果」なるものには、例えば「沖縄米基地『役立つ』59%」にせよ、「辺野古 賛成36%・反対47%」、そして内閣支持横ばい49%にせよ、沖縄県民を日本全体の世論とかけ離れた、「特殊に追いやるような内容になっている。こうした調査を見て、自分たちは愚弄されたと感じる県民もいることだろう。沖縄への米軍基地押しつけ沖縄差別を世論調査で表現したらこうなるという見本のようなものだからだ。

3面の解説記事「スキャナー」は、投票率が全県選挙としては最低だった2014年衆院選並みであったこと、総数に占める反対票の割合が37.65%だったことを指摘。盛り上がりに欠け説得力のない結果と腐している。そもそも、「人を選ぶ」公職選挙法上の選挙と、今回のように「意見を表明する」投票を、投票率で比較するのは間違っている。県民の有資格者は、一人一人、政府の政策に対する賛否を問われたわけで、これは、立候補した人の中から誰かを選ぶよりもしんどい作業。しかも、狭いエリアの住民投票ではなく、都市化された部分を含む人口140万人の島での県民投票。高い投票率を実現するのは大変なことだ。半数を超えたのは努力の賜だろう。

さらに、県民投票を前に土砂投入を強行し、あるいは《読売》自身も指摘しているように、運動を行わず、盛り上がらせない方向に努力した自公両党の努力の結果、投票率が下がったとも言えるわけで、それにも関わらず、総数の3人に1人が投票所に足を運んだ事実の重さというものも噛みしめる必要があるだろう。いずれにせよ、この先は、軟弱地盤を巡る闘争が繰り広げられることになる。《読売》の記者は設計変更を巡る裁判なども想定して、「日米両政府が早ければ2022年度の実現を目指している辺野古への移設と普天間飛行場の返還は、数年単位で遅れる可能性が高い」と、まるで沖縄県のせいで普天間返還が遅れると言いたいかのようだ。

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