いじめ探偵が告発する「いじめ防止法」座長試案の許せぬ改悪部分

 

総務省の勧告は無視

平成30年3月16日総務省は「いじめ防止対策の推進に関する調査」の結果に基づき、文部科学省と法務省に「勧告」を行なっている。この勧告では、様々ないじめについての予防の不備や対応不備を指摘されているが、簡単に言ってしまえば、「何もなってませんよ」と突きつけたのである。

しかし、馳浩座長の試案では、これをことごとく無視したものになっている。例えば、いじめの定義は、第2条

「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

と定められているが、問題が起きている学校では、実際にいじめが起きているのに、これを限定的に解釈していじめでないとして対応をしないというケースが総務省調査でも確認されている。

私もこうした限定解釈という事例は多く当たっている。例えば「継続性がないからいじめではない」とか「学校がいじめを認知していなかったので、いじめではない」などいじめの定義を無視している場合が多い。

そこで、12月改正案では、いじめの定義がある第2条に追加して、「限定解釈を行なってはならない」旨が書き足されていた。しかし、馳座長試案では、これは何の打ち合わせもなく削除されてしまったのである。

保護者への負担強化

12月改正案においては、マスコミが注目した「教職員などへの懲罰」規定についても明記されていた。ただし、これは管轄する各地方に委ねるとした内容のものであり、直ちに処罰というものではない。

12月改正案では、「学校の職員は、いじめを受けた児童等を徹底して守り通す責務を有し、いやしくもいじめ又はいじめが疑われる事実を知りながらこれを放置し、又はいじめを助長してはならない。」と追記されたが、馳座長試案では、これは削除されている

その一方、12月改正案では保護者の責務は従前のままになっていて「努めるものとする」という「努力規定」であるが、馳座長試案では、一部努力規定は改正されており、「~ものとする」となっている。

これは国や地方公共団体、学校の設置者や学校が行ういじめ防止への協力を保護者に対して行う場合の責務のことであるが、私が見る限り、効果的な対策を行っているところはごく僅か。無意味やっているだけの実績作りの懸念が否めないというところがほとんどなのだ。

これを世間では時間の無駄とか時間泥棒というのだが、保護者からいえば、そんなくだらないことに時間を割くより、子供のケアや最悪の事態を回避するための行動をした方が有意義であろう。

つまり、12月改正案では教職員への負担は微増レベルであり、馳座長試案では、教職員の負担は減り保護者の責務が重くなっているのだ。

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