措置を受け入れない加害者の保護者
「指導措置」の申し渡しは、保護者に来校をお願いし、生徒共々、校長より行います。
今回は、デリケートな面もあったので、校長からの申し渡しの前に、加害者の保護者の方と生徒本人に対して、教頭と生徒指導主任から、個別に概要を説明し、措置することを納得していただくべく説得にあたりました。
中心となった生徒の保護者の方は、子供の非を理解し、学校の「指導措置」にも納得をいただけました。また、中心以外の4名のうち2名も問題なく申し渡しが終了いたしました。ところが残り2名の生徒の父親からなかなか納得をいただけなく、教頭として苦労した記憶が残っています。
父親Aさんは、息子を伴い来校してくださいましたが、最初からけんか腰でした。言葉遣いも乱暴で「納得できない」の一点張りでした。そして、学校の対応を批判し続けるのです。その姿勢に、「子供に悪影響を与える」ことを心配するほどでした。
私は、「息子さんに強い悪意があったとは思いません。でも、軽い気持ちで同調することが、からかうことが、人を深く傷つけることがあります。今回は息子さんにその点を反省してほしいのです」と、繰り返し述べて理解を求めました。その後、しばらくやり取りをしていると、突然、Aさんは床に手をついて、「申し訳ありませんでした」と、これまでとうって変わって謝りだしたのです。それには、びっくりしましたが、Aさんの話では、どうも、世間で「いじめ」問題が取り上げられ、「いじめ」をしたので「息子は退学になる」と思い込んでおられたことがわかりました。そのため、「何が何んでも退学を撤回させよう」と、けんか腰だったのだと理解できました。