【カンブリア宮殿】世界一売れている入浴剤「バスクリン」好調の秘密

 

「日本の名湯」~各地の温泉と共同開発

色決めをしていた杉浦が白衣を脱いで、勤務時間中にお風呂に。入浴後には医務室のような部屋へ入っていった。入浴剤が体に及ぼした影響をさまざまな角度から計測するのだ。体温、血流、自律神経などのデータをとり、疲労回復の度合いやリラックス効果を数値で検証していく。

入浴剤を入れない風呂と比べると、入浴剤入りは出てから20分経っても体が熱を保っている。また、入浴剤の香りでリラックス効果が高まり、心地いい時に出る脳波が検出された。

こうした徹底した研究開発から生まれたのが「日本の名湯」シリーズ。1986年に発売し、家庭で手軽に温泉気分が味わえると大ヒット。現在、全国17カ所の人気温泉を商品化している。

長野・野沢温泉の開発例を2011年に取材した。

開発チームは3人1組で、温泉の泉質・効能を調べ、多い日には1日10カ所のお風呂に入る。野沢温泉は硫黄のにおいと白いお湯が特徴だ。試作品ができたら、温泉管理組合を訪ね、品質をチェックしてもらうのだが、「硫黄のにおいが野沢温泉の最大の特徴ですが、においがしないですね。こういう白は野沢温泉にはない」(当時の野沢組・河野勇治代表)と厳しいダメ出しも。この時は色もにおいも納得してもらえなかった。

バスクリンの「日本の名湯」には厳格な基準がある。それを示すのが「共同企画」というマークだ。バスクリンは、温泉地が正式に認めたものしか商品化していないのだ。

「日本の名湯」シリーズで、バスクリンと温泉地の関係も変わってきた。社長の古賀和則(65)が温泉関係者の集まりに顔を出すと、まるで仲間のように歓迎される。

「十勝川温泉はそれほどメジャーじゃないので、バスクリンの入浴剤として作っていただけるのは、非常に嬉しかった」(担当者)

初めはライバル視して共同企画を躊躇するところもあったが、今では、温泉地の方から声がかかることもあるという。
「(入浴剤を)使って本物に入ってもらう。その橋渡しをするということです」(古賀)

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