本日の論点(2)超悲観論者、佐藤彰洋教授の主張をどう評価?
横浜市立大学データサイエンス学部の佐藤彰洋教授は、感染症の専門家ではなく数理の専門家ですが、今回のコロナウィルス感染拡大に関するシミュレーションで、超悲観論を主張されています。
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とにかく「東京都の現状分析に、2020年4月6日から、直接行動減少目標値20%とした場合と、直接行動減少目標値1.8%とした場合における1日間の新規感染者確認数のシミュレーション結果を追加しました。q=20%では2020年4月14日から一旦減少に転じますが、その後再び新規感染者確認数は増加に転じる結果となりました。q=1.8%では2020年4月14日以降ほぼ新規感染者確認数が0となるという結果となりました。」というのですから非常に厳しいです。
1つの見解としてアリとは思いますが、毎日新聞さんなどがホイホイとこの佐藤説に乗っかってまるで「アンチ原発」のように論陣を張る始末ですから、学界の一部からは「公開質問状」というのも出て議論になっているようです。これに対して、佐藤教授は反論、「公開質問状に対するコメント」も出しておられます。
私としては、超悲観論として誠実なのは理解できるものの、公衆衛生の概念が浸透した社会であること、第一次感染がクラスター戦略で封じ込めに成功したこと、特に狭い空間でのクラスター発生への問題提起が進んでいることなどから、ここまで厳格な論には立たなくて良いように思っています。
問題は北大の西浦教授の主張する「q=0.2」つまり「8割削減の行動変容」ということが、いつの間にか「7割」にすり替えられ(7割と8割では大違い)ていることとか、政財界にヤル気が感じられないことで、どう考えても、西浦理論を支えるのが先決であって、佐藤理論を持ち出して西浦理論を叩くというのは、非常に筋が悪いように思います。
本日の論点(3)総務・人事・経理をリモート化するには?
危機感が高まるにつれて、日本でもようやくリモート・ワークが広がって来ました。そんな中で、これまでは難しいとされていた研究開発や営業の部門で、急速にリモート化が進捗しているのは、単にコロナ対応ということだけでなく、今後の日本経済における生産性向上に大いに効果があると思います。良い動きです。
一方で、非常に気になるのがアドミ業務、つまり総務・人事・経理の3部門におけるリモート化が進まないという傾向です。問題は2つあります。
1つは「紙」が断ち切れないという問題です。契約書にしても、各種帳票にしても、「原本」を紙で作り、これに「捺印」して、相手に「郵送」して、受領したら「決済書類」を回して、決まったら「ファイル」する…こんなことをやっていたら、いつまでもリモートはできません。
どうしても配達された郵便物を確認しないといけないので出勤するなどという話を聞くとやり切れない思いがします。
もう1つは「グレーゾーン」の問題です。欧米だろうが中国やアジア各国だろうが、アドミについては既成のアプリなどに合わせて標準化するのはビジネスの常識です。
ですが、日本の場合は例えば決算をするにしても、給与計算をするにしても、どうしても自前のルール、自前の方法によって、バラバラにやっており、標準ソフトでは運用できないケースが多いのです。
どうしてかというと、企業の経営姿勢として「グレーゾーンを使って経費節減や節税をする」というクセが染み付いているからです。これに加えて、一部の株主や取引先にパワハラめいた「非対称な関係」を強いられて、それが例外対応になっているということもあります。
決算のたびにそうした「グレーゾーン」や「特例」に対応していては、既成のソフトでは対応できないばかりか、具体的な処理に際して「社外秘のファイル」を参照しながら、経営陣と「ナイショ話」をする必要が出てきます。そうなると、どうしても出社しなくてはならないというわけです。
ここは、財界や監督官庁がしっかり腹をくくって乗り出すときです。例えば、確定申告の場合は、リアルに紙と面談でやったら思い切り上乗せ課税するとか、給与計算は標準ソフトや認定代行サービスを「使わないで勝手にやったら」税務上不利にするとか、制度で攻めれば良いのです。「そんな風に効率化したら天下り先がなくなる」という心配もあるかもしれませんが、天下りする代わりに、信頼の置ける代行サービスとか、標準的なソフト・アプリの開発をやって、ノウハウで社会貢献すれば、誰も文句を言わなくなるはずです。
いずれにしても、アドミの標準化ができずに、アドミのコストが高いままですと、「ポストコロナ時代」に仮に円高になったとすると、多国籍企業は「日本でのアドミ仕事」を全部切り捨てるようになると思います。そうなる前に、しっかりと改革をする、今回の事態はその契機にするというぐらいで良いのだと思います。
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