【スイスフラン】日経下落の要因に見えるが実態は原油安

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13日の日経下落の実態はスイスフランではなく原油安


『山崎和邦 週報「投機の流儀」』第137号(2015年1月18日号)

先週号で「欧州政治・経済含めて海外要因に左右される週になろう」という旨を述べたが、スイス発のユーロの揺さぶりとは思いもよらなかった。

先物主導の下げだったが、それを主導したのは海外投資家である。

だが実は「スイス発」は海外投機家のキッカケであって、実体は原油安が淵源である。その道筋を要約したい。

日本時間で15日(木)の夜、スイス発で円買いがおき、市場心理を冷やした。スイスはユーロに加入せず、山中の小国として孤高のアイデンティティを堅持してきたが、1スイス・フランを1.2ユーロと固定するために、2011年9月以来スイス中央銀行が頑強に介入を続けてきた。この強固なスタンスに感嘆さえしたものだ。例えば本稿がそうだった。それが限界に達した。スイスのGDPに匹敵するほども積み上がってしまった。そこで15日の夜、スイス国立銀行(中央銀行に相当する)はスイス・フラン防衛を放棄した。スイス・フラン相場は瞬時に約3割も激動した。そこで世界の投機マネーは安全通貨の連想で円買いに走った結果、115円台まで見た。先月122円寸前だった円が急騰したので、日経平均は大幅安を演じた。

これがストーリーだが、実態は原油先物で損失を被った海外ヘッジファンドが損失を穴埋めするために評価益を抱えている日本株を売ったのだ。スイスフランの激動が材料視されたが、実態は原油安が大きいと見る。スイスと関係なく1月初旬から海外勢は日本株を売り越してきた。原油安と平行的だった。

先週末はSQ日だった。17,341円で決まったが、これをクリアできずに終えると投資家心理を冷やすから翌週は安いというジンクスがあった。今回もそうなった。

1) 第1の窓;116円幅の窓
10月30日高値;15,701円~10月31日安値:15,817円

2) 第2の窓;187円幅の窓
10月31日高値16,533円~11月4日安値16,720円

3) 第3の窓;37円幅の小さな窓
11月10日高値16,818円~11月11日安値16,855円

の3つの窓の(3)は既に埋めている。(2)の窓も今回の下げで夜間先物で言えば埋めたことになる。週末は500円以上も下げて上げ幅の約半分以上を戻して終えた。週末は日足で見れば短いながら陽線である。しかも長い下ヒゲを引いた陽線である。やはり「下値には限界がある」を意識した動きであろう。

だが、(1)の窓はまだ残っている、ということになる。日経平均の騰落レシオから言えば80%割れだから、そろそろ「売られ過ぎ」のレベルまで来たが、25日線との乖離は週末の最安値で見てもまだ4%台だ。
『山崎和邦 週報「投機の流儀」』第137号(2015年1月18日号)
著者:山崎和邦(大学教授/投資家)
野村證券、三井ホームエンジニアリング社長を経て、武蔵野学院大学名誉教授に就任。投資歴51年の現職の投資家。著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)など。メルマガ「週報『投機の流儀』」では最新の経済動向に合わせた先読みを掲載。
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