コンビニの原点「便利さ」で差をつけたセブンイレブンの巧みな戦略

 

西武ホールディングスの取り組み

一方で西武ホールディングス(HD)も新しい試みをしています。そごう・西武などと組んで、2月8日から、ネット通販で注文した、西武池袋百貨店の商品を、西武鉄道の駅構内に設置してあるコインロッカーで、受け取ることができる、「駅配サービス」の提供を開始するとのことです。「BOPISTA(ボピスタ)」という名称のサービスとのことで、今現在で、ホームページはあるものの、「2月開始 お待ちください」と、カウントダウンが表示されています。

当初は、実験的に開始するとのことで、池袋駅、富士見台駅、所沢駅にて、2月8日から3月31日を予定しているとのことです。対象になるのは、西武百貨店の池袋本店で販売している、常温保存可能な焼き菓子などのスイーツ類と、化粧品、小物雑貨などのギフトの一部商品です。

24時間注文可能のインターネットで注文をして、最短3時間後から受け取りができるそうです。いずれも土日祝日以外でのサービスになり、商品代金に応じて利用料として、100~500円が課金される予定ということですが、通勤するビジネスパーソンにとって、便利なサービスですよね。

会社や学校の帰りに、化粧品を注文して、帰宅する時にコインロッカーで受け取って帰ることができます。昼過ぎくらいに注文すれば、帰るときには間に合うので、夕食後のおやつなども注文しておけば、帰りに受け取れますし、逆に家でギフト用に焼き菓子や、小物雑貨を注文しておけば、百貨店によることなく、最寄駅で受け取ってから、その贈り物を渡す場所に向かうこともできそうです。これから、バレンタインデーもありますし、本命チョコはともかく、友チョコや家族チョコ、職場の方々へのチョコなどにも便利そうです。

新型コロナウイルスによる外出が制限される、新常態のライフスタイルの中、通販で物を買う、ということが浸透してきました。確かに便利なのですが、通販で買い、自宅に届けてもらうとなると、いつ届くかわかりませんし、今日あればいいのに、というような商品は、やはりお店に買いにいかなければいけません。また、受取日が指定できたとしても、その時間のあたりに家にいなければなりません。しかも、その時間にいられないと、再配達を頼まなければなりません。

通販の量が増えて、宅配の量が増えているので、配送会社も負担がかかっています。そしてこの、再配達は配送会社にとって、二度手間のロスになってしまいます。この再配達によって、年間で42万トンのCO2が排出され、9万人相当の労働力がロスしているとの試算もあり、社会問題にもなっています。西武ホールディングスは、この試みを他の駅や他の商品にも拡大していくと思われます。

今までは、小売業は「どれだけ多くの集客をするか」、「そのために売れる場所を広げよう」となっていましたが、インターネット通販が普及して、その考え方が、「お客様にいかに便利に商品を買えるか」を、考えるように変わりました。そして「どこで売るか」よりも、「どこでいつ受け取れるか」という点も追加されてきています。

様々な場所で販売することを、オムニチャネルと呼びますが、このようにいかにお客様が便利に買えることができて、便利に受け取れるか、ということにシフトする時代です。その意味でも、コインロッカー受け取り、ありそうでなかった新しい発想ですよね。

print
いま読まれてます

  • コンビニの原点「便利さ」で差をつけたセブンイレブンの巧みな戦略
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け