海外からも最悪国呼ばわり。博士号取得者を冷遇する日本のひずみ

 

このメルマガでも「研究者を軽視する」日本の風潮を何度もとりあげてきました。海外では経営幹部の名刺には大抵の場合、「Ph.D.」の肩書が記されていますが、日本では滅多にいません。海外では経営をするには「人をマネジメントする礎となる専門性が必要不可欠」という共通認識があります。

かたや日本は…。これ以上書くのはやめておきましょう。

いずれにせよ、たかが博士、されど博士。博士号の力は「専門性」だけではありません。「勉強する→考える→問題提起する→実証する→解決する」というループを回す「知の体力」こそが博士号の力です。

個人的な話になりますが、私は30代後半で大学院に進学した際、「修士じゃ研究者の卵でしかない」と思い、博士課程に進学できるように猛烈に学問しました。

博士号を取得するには海外のレフリー付きジャーナルの原著論文が最低でも2本ないとダメ。実績がないと博士論文も受け付けてもらえませんでした。そこでレフェリーから何度重箱の隅をつつかれようとも、相手を納得させるエビデンスを「これでもか!」というほど示し続けました。論文を修正する作業には、知力、体力、気力の「持久力」が必要です。

とことん考え抜き、課題を一つひとつ越えていく作業は自分との戦いでもあります。そういった経験は、どんな社会でも、どんな企業でも必ず生かされます。少なくとも私はそうだったし、博士課程とはそういう世界だと信じています。

この先何がおこるかわからない、複雑で、曖昧で、不確実性が高まってる今。「知の体力」を持つ人を育て、活躍できる社会を目指す以外、日本の企業が生き残る道はない、と私は考えています。

みなさんのご意見、お聞かせください。

image by: Shutterstock.com

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
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