人工甘味料トレハロースで「感染症急増」は本当か?医学博士が再び検証

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2018年に掲載の「人工甘味料トレハロースで感染症が急増?医学博士が真偽を解説」で、日本のメーカーが製造法を開発した甘味料が、命に関わる感染症を引き起こす可能性を指摘した論文を取り上げた、米シアトル在住の医学博士・しんコロさん。しんコロさんは今回、メルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』で、その翌19年に別の学術誌に発表されるもあまり注目されることのなかった論文を詳しく検証した上で、「『Nature』の論文にはいくつかの問題点があることが示唆された」との見解を記しています。

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「人工甘味料トレハロースで感染症が急増?」のその後

昨年からの新型コロナウイルスのパンデミックとなってから、「感染」という言葉は我々の日々の生活から1日たりとも見当たらない日々が続いています。一方で、新型コロナウイルスが蔓延する以前から、他にも様々な感染症が医療現場で重大な問題となっています。皆さんもご存知のマラリアやHIVなどはまだ未解決の感染症ですし、他にも様々な感染症が世界には存在します。

そんな中、重篤な感染症の別の一例として、クロストリジウム・ディフィシル(Cディフ)という細菌による腸炎が、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ諸国で20年ほど前から突如として増加し、現在も医療現場で問題になっています。僕が以前勤めていたニューヨークのMSKCCでも、がん患者の腸内細菌叢のアンバランスにより、Cディフの感染リスクが高まるという研究を身近で見てきました。

そんな中、人工甘味料の「トレハロース」がCディフの感染症の増加に関与しているのではないか、という論文が2018年に英雑誌『Nature』に掲載され話題を呼びました。その時に僕も論文を紹介して見解を述べた記事を書いたのでした。先日、このトレハロースを製造している株式会社林原のマーケティングマネージャーの方から、この内容にアップデートがあるということをお知らせいただきました。『Nature』の論文は話題を呼びましたが、それ以降にその結果を否定する論文が現れたのです。僕もこの論文のことはメルマガに書いてMAG2NEW記事にもなったので、新しい論文の情報も紹介しておきたいと思いました。

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