三菱電機のパワハラ自殺が労災認定、日本の職場環境の深すぎる闇

 

●uttiiの眼

仮に自殺に至らなくても、うつ病やその他の精神障害を発症した人は遙かに多くいるだろう。あるいは、そこまで至らなくとも、会社にいられなくなって、そのことが原因で経済的に困窮してしまうケースはもっと多いかもしれない。まさしく「自殺」のケースは“氷山の一角”に過ぎないと見るべきだ。

職場環境の中に様々な差別の構造が持ち込まれるようになったことがこうした問題の遠因になっているかもしれない。労働者に支払う賃金を「賃金コスト」と見なす経営者は、非正規化を亢進させるだけでなく、社員を徹底的に働かせ、絞り上げる「努力」を惜しまない。当然、職場の環境は悪化し、荒んだ空気の中でパワハラが横行する下地ができあがる。

実際に社員が自殺に至るか否かには、上司たちの個性など、様々な要素が介在するだろうが、労災認定されるケースのこの広がりを見れば、個性を飛び越えた問題であることも、また、明らかだ。そして、もう二度と「死ぬまで働かされる」などということがないよう、今、新型コロナ禍で労働環境が一変したことを奇貨として、十分考えきっておきたいところだ。

image by:Alexander Tolstykh / Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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