ではなぜこのようなことが起きたのでしょうか?そこが最大の問題なのですが、まだその解明には至っていません。ただ私からすれば、官僚の質の著しい低下がその大きな原因なのではないかと思われてなりません。国家公務員試験を軟化してから既に10年以上、給与もさして上がらず、多くの同種同様の能力を持った人材の就職先である外資系銀行や外資系コンサル等と比べて低く抑えられているような状況であれば、かつては当たり前だった優秀な人材が官僚を目指さなくなったのも自明の理と言えるでしょう。しかし、採用はせざるを得ないので、以前の試験ならば受からなかったような人材や求める能力に達していない人材でも、採用してしまっているのが実態のようです。
そもそも、予算案にせよ法律案にせよ、作成に当たっては、重層的な審査(確認)が行われます。非常に緻密な作業ですが、1年目から徹底的に叩き込まれ、軽微な誤りでも発見できるようになっていきます。基本的にこの手の作業を中心的に行うのは係員から課長補佐まで。それを更に原課→局総務課→官房担当課と積み重ねていくので、誤りはほぼ確実に修正されていったわけです。
ところがその課長補佐以下の人材が、これまで当たり前だった人材ではなくなってしまった、全員とは言いませんが、それがこれまで当たり前の作業すらできなくなってしまった原因なのではないかということです。
ということは、公務員制度改革と総定員管理、そして緊縮財政、要するに「改革」と緊縮が今回の問題の元凶である、と言えると思います。
残念ながらここまで考えて予算委員会で質疑してくれる与野党議員はまだ現れていないようですが。
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image by: Ned Snowman / Shutterstock.com