予算案資料にミス続出。日本の官僚が当たり前の仕事もできなくなった理由

 

ではなぜこのようなことが起きたのでしょうか?そこが最大の問題なのですが、まだその解明には至っていません。ただ私からすれば、官僚の質の著しい低下がその大きな原因なのではないかと思われてなりません。国家公務員試験を軟化してから既に10年以上、給与もさして上がらず、多くの同種同様の能力を持った人材の就職先である外資系銀行や外資系コンサル等と比べて低く抑えられているような状況であれば、かつては当たり前だった優秀な人材が官僚を目指さなくなったのも自明の理と言えるでしょう。しかし、採用はせざるを得ないので、以前の試験ならば受からなかったような人材や求める能力に達していない人材でも、採用してしまっているのが実態のようです。

そもそも、予算案にせよ法律案にせよ、作成に当たっては、重層的な審査(確認)が行われます。非常に緻密な作業ですが、1年目から徹底的に叩き込まれ、軽微な誤りでも発見できるようになっていきます。基本的にこの手の作業を中心的に行うのは係員から課長補佐まで。それを更に原課→局総務課→官房担当課と積み重ねていくので、誤りはほぼ確実に修正されていったわけです。

ところがその課長補佐以下の人材が、これまで当たり前だった人材ではなくなってしまった、全員とは言いませんが、それがこれまで当たり前の作業すらできなくなってしまった原因なのではないかということです。

ということは、公務員制度改革と総定員管理、そして緊縮財政、要するに「改革」と緊縮が今回の問題の元凶である、と言えると思います。

残念ながらここまで考えて予算委員会で質疑してくれる与野党議員はまだ現れていないようですが。

政治家の政策アドバイザーを務める室伏さんが日本の政治を斬るメルマガ詳細・ご登録はコチラから

 

image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

室伏謙一この著者の記事一覧

昭和47年静岡県生まれ。国際基督教大学(ICU)教養学部卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科修了(法学修士)。総務省、株式会社三井物産戦略研究所、デロイトトーマツコンサルティング合同会社、みんなの党代表(当時)渡辺喜美衆議院議員政策担当秘書、外資系コンサルティング会社等を経て、室伏政策研究室代表 政策コンサルタントとして独立。政・財・官の全てを経験した立場から、国会議員、地方議員の政策アドバイザーや民間企業向けの政策の企画・立案の支援、講演活動(自民党議連「日本の未来を考える勉強会」、三橋経済塾、政経懇話会等)、東京MX「モーニングCROSS」、インターネットテレビ「チャンネル桜」他、報道・情報番組において政治・政策関連のメディア活動にも従事。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 室伏謙一の「霞が関リークス」増刊号 』

【著者】 室伏謙一 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 木曜日

print
いま読まれてます

  • 予算案資料にミス続出。日本の官僚が当たり前の仕事もできなくなった理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け