何かが違う。日本の少子化対策がほとんど効果を上げていない理由

 

そもそも2017年にベストセラーになった『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司著)によれば、「2020年には50歳以上の人口(3,248万8,000人)が、0~49歳人口(3,193万7,000人)を追い抜き、日本女性の過半数が出産期を終えた年齢になる」とのこと。

政府は合計特殊出生率を計算する際に、49歳までの女性人口を「母親になり得る」とカウントしているので、希望出生率の実現には、未来の母親たちが、ひとりで5人も6人も生む必要がある。マジか!と普通なら考えるわけですが、「子供4人産んだら表彰!」とどなたか発言し、炎上したことがありましたっけ。ま、4人でも足りないんですけどね。

つまり、少子化対策はず~と「夢物語」を追い続けている。そう思えてなりません。

足元をみれば、男性の生涯未婚率は、1985年の3.9%から2020年には25.7%へと6.5倍に増加し、「4人に1人が結婚していない」リアルが存在します(2020年の国勢調査)。

氷河期世代を含む「35~44歳の単身世帯」の所得のボリュームゾーンが、1994年の500万円台から300万円台へと200万円ほども減少したというリアルも。

少子化対策に取り組むなら、「結婚したくてもできない状況」にも手を打つ必要があるはずです。婚外子の議論も、ほとんど行われていません。

こういった問題に手をつけないまま「若者たちが結婚したくなる戦略」を続けることは「結婚したくてもできない人たち」の排除であり、それが結果的に「8050問題」や「中高年のひきこもり」につながるのです。

社会で起こる問題は例外なく、それまでの流れの過程で生まれたもので、ある日突然、卵から飛び出すわけじゃないのです。天気予報が外れるときは大抵、大気の流れを無視し、目の前の現象にとらわれたときだと私は経験的に学びました。

「少子化対策」と銘打つのであれば、蜘蛛の糸を張り巡らせるように「産める社会」を構築させる必要があるし、入ってくるカネ=収入問題にもメスを入れる必要があるのではないか。…まぁ、所詮戦力外の「出産期を終えたおばさん」の戯言ではありますが、「閉じゆく国」って、あまりに寂しすぎます。

というわけで、みなさまのご意見も、ぜひお聞かせください。

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