プーチンか、欧米か。終わらぬウクライナ紛争「真の悪者」の正体

 

国際的なMediation Groupが組織され、依頼が来たらすぐに取り掛かれるように準備が進んでいますが、その間にもウクライナと国際社会をめぐる状況は悪化の一途を辿っています。

1つ目は【戦況の変化の兆し】です。

ロシア軍が撤退したとされるキーウ周辺では、一般市民が虐殺された“事実”が残されていました。誰が実行したのかについては、今後の捜査および審議を待ちますが、これは完全なる戦争犯罪であり、明らかに一線を越えています。

多くの紛争では、この“一線を超えそうな時”に戦況の変化が生まれます。また、仮に一線を越えてしまったことが明らかになった際、戦意が一気に低下し、休戦ムードが高まることも多く見受けられます。

しかし、ロシア政府とロシア軍が選んだのは、ドンバス地方を形成する親ロシア派勢力が多いウクライナ東部と黒海への玄関口となるウクライナ南部のオデーサ、そしてその要所となるマリウポリに攻勢を集中させ、ここにロシア軍の勢力が陣取る回廊を作る作戦のようです。

これが5月9日のソ連対独戦勝記念日までに、“当初”の目的だった東部ウクライナの“解放”を成し遂げて勝利をアピールしたいということなのか、それとも、再度一斉攻撃をウクライナ全土にかける準備に充てるためのカモフラージュとして使いたいのかは分かりませんが、ロシア政府の作戦は確実に次のステップに対する恐怖心を周りに植え付けています。

その筆頭が、プーチン大統領が“やっと”任命した対ウクライナ侵攻の総司令官に“あの”アレクサンドル・ドゥボルニコフ将軍を充てたことでしょう。

ドゥボルニコフ司令官はかつてチェチェン紛争で徹底的な破壊を指揮し、チェチェンの反ロシア勢力に壊滅的な打撃を与え、2015年以降激化し、いまだに解決していないシリア内戦において、アサド政権軍側に付いたロシア軍を指揮して、アレッポの“虐殺”などを実行した司令官と言われています。

そして何よりも目的の遂行のためには手段は選ばず、シリアによる虐殺がそうであったと言われますが、化学兵器の投入を厭わないほどの徹底ぶりだそうです。

今回、対ウクライナ戦線の総司令官に就く際、「問題があり、危険が底に潜んでいる可能性があるなら、それは私たちの科学者たちがあぶりだし、解決することになるだろう」という、以前の発言を繰り返したことが、「どうもウクライナでロシア軍が…」という未確認情報が拡散されるという事態も起こしているほどの恐ろしさと言えます。

確かに公式のデータベースには、ロシアにおける(推測という但し書きはあるものの)大量のサリンやVX、マスタードガスなどが貯蔵され、Stand Ready(いつでも使用可能な状態)であることがハイライトされています。

先週号でも触れた核兵器の使用はもちろんですが、化学兵器が投入されるような事態になったら、確実に私たちは全く違った世界に直面することになります。その決定権を握っているのは、プーチン大統領なのでしょうが。

【関連】越えてしまった一線。ロシアの民間人大虐殺で近づいた第3次世界大戦

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