我々有権者の予想を遥かに超え、広く深く自民党へと浸透していた旧統一教会。国民からの批判をかわす狙いで内閣改造と党役員人事を実施した岸田首相でしたが、その後も党所属議員と教団との関係が次々と明らかになるなど、事態の収束は難しい状況となっています。この問題について「決して放置してはならない」とするのは、Windows95を設計した日本人として知られる世界的エンジニアの中島聡さん。中島さんはメルマガ『 週刊 Life is beautiful 週刊 Life is beautiful 』で今回、統一教会設立から現在に至るまでの主な歴史と自民党とのつながりをまとめつつ、このような教団を野放しにしてきたことを日本戦後史最大の汚点と断罪。その上で、岸田政権が真剣に取り組むべき問題の解決策を提示しています。
プロフィール:中島聡(なかじま・さとし)
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。
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統一教会についてのまとめ
統一教会に関しては、決して放置してはならないという考えから、継続的に発信を続けようと考えています。まずは、私自身の理解を深めるために、主要なイベントを時系列で並べて見ます。
- 1954年 文鮮明が韓国で統一教会を設立
- 1959年 日本統一教会が笹川良一・岸信介の後ろ盾で設立(山口県)
- 1964年 原理研究会の設立
- 1968年 文鮮明が国際勝共連合を設立(名誉会長は笹川良一)
- 1975年 文鮮明が世界日報を設立(統一教会と国際勝共連合が出資)
- 1980年 霊感商法が広く行われるようになる
- 1984年 元幹部、副島嘉和による内部告発。その後襲撃される(副島襲撃事件)
- 1987年 被害者のための全国弁連が結成される
- 1992年 金丸事件(自民党・金丸信の逮捕)
- 1993年 国際勝共連合本部を公職選挙法違反容疑で家宅捜査
- 1995年 (オウム真理教による)地下鉄サリン事件
- 2006年 第一次安倍内閣(2007年まで)
- 2009年 新世事件(特定商取引法違反で各地で検挙)
- 2009年 コンプライアンス宣言。集金力が格段に落ちる
- 2012年 文鮮明が死去
- 2012年 第二次安倍内閣(2020年まで)
- 2015年 「世界平和統一家庭連合」への名称変更が文化庁から認可される
- 2022年 安倍元総理銃殺事件
大きな流れにまとめると、
- 1954年~ 国際勝共連合を作り、日本の右翼(笹川良一)や自民党の中枢(岸信介、中曽根康弘、金丸信)と近づき、日本の政治への影響力を高める。各大学にサークルとして原理研究会を作り、学生のリクルートが始まる
- 1980年~ 霊感商法による信者からの搾取が日常化し、韓国本部へ毎年300億円を送るようになる
- 1990年~ 警察による家宅捜査・検挙などが続く
- 2009年~ コンプライアンス宣言をし、集金力が落ちる
- 2012年~ 安倍晋三が統一教会と急速に接近。自民党総裁選に勝利し、政権奪回。統一教会は名称変更に成功
となります。
統一教会・勝共連合の政治信条は、男女別姓反対、憲法改正など、自民党の保守派のそれと酷似していますが、それを持って「統一教会が自民党を裏から操っている」と頭から決めつけるのは少し間違っていると思います。
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