プーチンに打つ手なし。ホテル宿泊者が徴兵事務所へ連行されるロシアの窮状

 

ロ軍の状況

ロ軍の人的被害が、ロシア機関からの情報で9万人以上と出てきた。戦死者と行方不明者、戦線復帰できない負傷人員の合計値であるが、ウ軍発表のロ軍戦死者6万人との関係が分からない。

普通は戦死者の2倍以上の負傷兵がいるということになると、戦死者3万人、負傷兵6万人となり、ウ軍発表と合わない。

このように人的被害が大きく、兵士が足りないために、ロ警察は手当たり次第でショッピングモールや地下鉄の駅などで動員の対象になる男性に召喚状を渡しているとか、モスクワ市内のホテルに宿泊していた18歳から55歳までの男性客40人を軍の徴兵事務所に連行したとか、サンクトペテルブルクでは、ぜんそく患者の男性が治療のために総合病院で診療を予約したところ、医師から召喚状を渡されるなどの事例が続出している。ノルマ達成に軍や警察は躍起になっているようだ。

このように、ロ軍が動員を急ぐ理由は、戦局が不利に傾き、それを挽回する手が動員しかないからだろう。すでに南部ヘルソンで、ロ軍の動員兵が500人ほど戦死したとウ軍は述べているし、東部では5人の戦死をロシアの報道機関は報道している。ロシアの軍事ブロガーも動員兵の訓練不足を問題視している。

そして、ベルゴロド州のソロチのロ軍演習場で15日、乱射事件があり、ロ国防省によると11人が死亡、15人が負傷したが、動員兵3名が突然発砲した。近々、激戦地に送られることに反対していたようで、短期の訓練で前線に送られることに不安が高まっている。

このため、ロシアはベラルーシ軍の基地を動員兵の訓練に使うようであり、教官もベラルーシ軍人になるようだ。ロ軍軍人は欠乏しているが、ベラルーシ軍軍人がいるということである。

このようにロ軍弱体化で、前線の維持は徐々に難しくなってきて、ベラルーシを活用する方向のようだ。ベラルーシも、戦闘に参加するより、ロ軍の後方支援の方が良いということのようだ。

そして、ベラルーシも、公式には動員を行わないと発表したが、非公然動員を開始するようだ。特に運転手と料理員が対象のようであり、ロ軍の兵站要員が不足しているので、ベラルーシが要員を送り込むようである。

それと、ベ軍とロ軍の合同軍も創設した。この合同軍は、ウクライナ国境近くに配備したが、ウクライナへ侵攻できるのであろうか?ウ軍は準備万端である。

北朝鮮は、工兵を中心に10万人を東部ロシア占領地域に送り、復興作業を行う予定であるが、この工兵の逃亡が多発しているという。東部地域は、いつ戦場になるかも分からない地域であり、戦闘要員として駆り出される可能性が強いためであろう。

そして、イラン革命防衛隊がロ軍に、複数のイラン製ドローンの使い方を教えているが、ロ軍は自国オルラン10ドローンの製造ができずに、ドローンをイランから導入して、攻撃している。

日本の斉藤製作所のエンジンが直接輸入できずに、数が作れないようである。

イラン国内では、自由を求める国民の声が強くなり、デモが盛大に行われている。体制変更もあるのではないかとも言われている。裏には米英のカネが動いているようにも感じる。ロ軍への支援を止める必要があるからだ。

そして、T-62戦車を800両を近代化改修して、前線に送るという。また、ベラルーシからも大量の戦車・装甲車がロシアに送られたという。このように、装甲車と戦車が不足して、1960年代の戦車を倉庫から持ち出して使うようである。T-90、T-80、T-64の戦車は既に使い切り、残すはT-62戦車以前のものしかないということである。

ロ軍前線司令官は、弾薬不足と戦車などの兵器不足があり、まともに戦えない状態であることを知っていると英国諜報機関がいう。このため、大規模攻撃もできずに、ウ軍の攻撃を防御するだけになってきている。

とうとう、国内でも、ロ軍の惨敗を批判していたロシアの軍事ブロガーが、警察につかまり始めて、そこからの情報を得ることができなくなってきた。国内でもプーチンの味方がどんどん少なくなっている。国内でも恐怖政治になり、正常な批判を許さない政治に移行するようだ。

一方、ウ軍は、どんどん兵器と弾薬が欧米諸国から送られてきて、かつロシアの戦車や装甲車や弾薬を鹵獲するので、装備が良くなっている。

ウ軍の優位な状態が、確実になってきたことになる。もう1つが、この戦争で世界全体が戦争時代に逆戻りした観がある。どんどん、戦争の影響が広がっている。

そして、米国の中国への半導体輸出規制は大きい。米中間の対立も拡大している。イヤな感じになってきた。

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