ロシアの孤立化と行き詰まり
国連総会(193カ国)でのロシアのウクライナ4州の併合に対する非難決議は、日米など143カ国が賛成で採択した。反対はロシア、北朝鮮、ベラルーシ、シリア、ニカラグアの5カ国にとどまり、中国やインドなど35カ国が棄権で、残りは投票に参加しなかった。
このように、ロシアへの非難が多く、インドや中国も棄権したようにロシアに賛成する国は少ない。今まで、ロシアを非難しなかったイスラエルも、この件では非難し始めた。
このため、プーチンは危機感から、国際会議を多数開催して、ロシアの孤立化を防ごうとしている。14日も、カザフスタンの首都アスタナで、旧ソ連諸国で構成される独立国家共同体(CIS)の首脳会議に出席したが、この中でロシア非難決議に反対したのは、ベラルーシしかいない。モルドバは賛成で、後は、棄権と投票に参加せずである。この会議では、カザフスタンのトカエフ大統領から「国境問題は、平和的手段で解決するべきだ」と述べられて、苦い顔をした。
また、タジキスタンのラフモン大統領は、プーチンに対し「旧ソ連時代のように中央アジア諸国を扱わないでほしい」と述べ、属国扱いではない対等な関係を望んでいるとした。このようことを言われるのは、ロシアの立場が弱くなっている表れだ。
プーチンは、核攻撃を仄めかしていたが、NATOと米国は、戦術核でウクライナを攻撃したら、NATO軍がロ軍を全滅的攻撃すると宣言されて、それは脅しではなく、確実に実行するとした。そして、それをプーチンにも伝えているという。
このため、プーチンも核使用を述べなくなっている。
停戦は
ラブロフ外相が「核はロシアの存亡の危機にしか使わないし、首脳会談の提案があれば、応じる」と述べたが、トルコのエルドアン大統領がアスタナで、プーチンと首脳会談を開いたが、停戦の話はなかったという。
エルドアン大統領は、事前にウクライナのゼレンスキー大統領と話をしたが、プーチンとは交渉しないと言われて、停戦の話もできなかったようである。
このため、米バイデン大統領も、今はプーチンと首脳会談をする気がないとしたし、プーチンもないとした。まだ、プーチンはロ軍を立て直すために、時間が必要であることを知っている。このため、停戦で時間を稼ぐ必要がある。
しかし、プーチンの思惑を読んで、ウクライナは停戦しない。停戦するのは、ロ軍がウクライナ領土から完全撤退した時であり、プーチンとは、それ以外での停戦はないという。
これにより、立て直しができず、ロシアが再起不能になるまで、戦争は続くことになる。しかし、この最終的に追い込まれた段階で戦術核を使用する可能性はある。
ということで、中国政府は、ウクライナの自国民に対し出国を要請したが、核ミサイル攻撃を想定した可能性もある。
それより前で停戦協議を始めてもらいたいと思う。そうしないと、核戦争になり、少なくとも、ロシアは、ロシア人もろとも完全崩壊する。一方、欧州・日本なども核攻撃される。
さあ、どうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2022年10月17日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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