陸上自衛隊セクハラ事件で明らかになった「個」を殺す日本の悪習

 

18日の予算委員会でも、この問題を取り上げていましたが、そもそも日本にはセクハラ・パワハラを禁止する法律がありません。男女雇用機会均等法では、セクハラ防止措置を事業主に義務づけるだけ。パワハラ防止法でも、専門家がたちが繰り返し「禁止」を訴えたのに、パワハラ自体を禁止する文言は最後まで入りませんでした。

海外にもセクハラ・パワハラはあります。しかし、パワハラの「禁止」を法律で定めることで、どんな立場の社員でも弁護士を使って主張の正当性を確かめる権利を持てる。法律で明確にパワハラを「禁止」することで、部下に対して責任を持っている上司はパワハラ的な言動をしなくなります。しようものなら、自分の評価が下がる。自発的に部下を指導する際に圧力をかけるのをやめるのです。

たった2文字、「禁止」を法律に明記されるだけで、上司にセクハラパワハラを絶対させない、という自覚が出るはずなのに、日本はどこまでも「組織」を守ることしか考えません。いつだって日本の組織は「個」を殺します。組織が大きくなるほど、階層が厳密になるほど、「個」の声は殺され、「個」の心身は蝕まれる。

なぜ、こんなにも当事者が命をかけて戦わなきゃいけないのか。なぜ、勇気を振り絞って立ち上がっても、組織を守ることばかりが優先されるのか。つまるところ、トップ次第だと思うのです。

岸田首相は、予算委員会の答弁で、「現場部隊と防衛省、ともに対応が不適切だった」「あらゆるハラスメントの根絶に取り組みたい」と述べましたが、「禁止」という言葉は使いませんでした。ここでこそ、“検討士”の出番なのに。「禁止を検討する」と、なぜ言えぬ?

みなさまは、この問題についてどのようにお考えでしょうか? 是非ともご意見、お聞かせください。

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