安倍氏が残した負の遺産。現役サラリーマン「9割が老後貧困」の現実

 

現状よりももっと厳しい「貧困老後生活」がやってくる!

すでに、現在の高齢者無職世帯(夫65歳以上・妻60歳以上)の半数に当たる600万世帯が、年金を含めた世帯収入が200万円に満たない生活保護基準以下の貧困老後生活を送っています。取り崩す貯蓄もないのでこうなっているわけです。高齢になっても貯蓄がないのは、生涯収入と生涯支出がギリギリだからです。子供1人を育てるのがやっとで、夫婦の老後資金までは貯められない時代なのです。

2019年に金融庁が公表して物議を呼んだレポートでは、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では、家計調査のデータから、毎月の平均支出額26万円に対して、夫婦の年金収入が合計20万円程度なので、毎月平均不足額が月額5.5万円に及び、年間で66万円不足するゆえに、これが30年間続くと、ほぼ2,000万円が不足してしまう」といった要旨でした。つまり、「老後には2,000万円が必要」というワードが独り歩きして、「2,000万円なんてとても貯められない!」「100年安心の年金プランはどうなった!」などと騒がれました。

ただし、年金だけでは、老後の生活がままならない──ということは、以前から知られていた話でしたから、こうした大騒ぎは奇異な印象を残しただけでした。しかし、これから先には、年金額そのものが減らされたり、支給開始年齢が今よりも繰り延べされそうなので、現役世代にとっては、「脅威の老後」が待っているといっても過言でないのです。実際、2021年の総務省「家計調査」で見ても、60歳代の半数の世帯での貯蓄が「1,000万円未満」なのです。光熱費や食費がどんどん上がるほどに、月額で不足する生活費は膨らんでいくでしょう。60歳代の半数が働いて何らかの収入を得ているといっても、家計はますます厳しくなっていくのです。

何でこんな日本にしてしまったのか? 人口減少問題に取り組まなかった政府・与党の無策ぶりのツケゆえに自業自得の結末だった!

こんな先行きの見通しが暗い日本にさせたのは、政府の少子化対策が無策に等しかったから──といってよいでしょう。政府は、2007年の第一次安倍内閣の時から、内閣府特命担当大臣として、「少子化対策担当大臣」を置くようになっていますが、これがただの見せかけだったからです。ただの権威肩書をつけるためだけの大臣職の増産に他ならなかったからです。その証拠に少子化にはまったく歯止めはかけられませんでした。長く続いた安倍内閣も、「成長戦略」と称して、いろいろなご託宣を並べ立てていましたが、「少子化対策こそが成長戦略」という視点が完全に欠落したままだったからです。

人口が減り、GDPが縮小していく国に、投資するモチベーションはそもそも生まれません。すべてが衰退産業化していくのですから、それは宿命なのです。国の成長を謳うなら、「少子化対策こそが第一義」であるべきだったのです。こうなることは十分予想できたのに無策で来たからこそ、こうなりました。合計で8年7カ月もの長期政権の座にありながら、安倍首相が残した「日本の負の遺産」は大きかったのです。政権の私物化(モリ・カケ・サクラの身内優遇)や、専守防衛から米国追従の積極軍事という平和政策の転換、アベノミクスでの円安政策が出口のない超円安局面までを招き、物価高騰への対処法さえ無効にしています。

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