安倍氏が残した負の遺産。現役サラリーマン「9割が老後貧困」の現実

 

「平均寿命」が驚異的に伸びてきたのが現在の日本!

ところが、2021年の平均寿命は、男性が81.47歳、女性が87.57歳となり、大幅に伸びています。1950年と比べると男性が23年、女性が25年も長生きするようになったのです。71年間で、これだけ寿命が延びたのです。2060年の平均寿命は、男性は84歳、女性は91歳になると推計されています。しかし、同年代の半数が元気でいられる「健康寿命」では、男性が72歳、女性が74歳です。「健康寿命」 とは、日常生活において、介助や介護といった援助に依存することなく、自立的に生きられる期間のことをいいます。

男性は72歳、女性は74歳を過ぎると、同年代の人の半数は、健康に何らかの重い問題を抱えることを意味しています。同年代の半数の人が、自分の健康が維持できなくなってから死ぬまでの平均寿命との期間は、男性が約10年、女性が約13年あります。体力の衰えた老後に、さまざまな病気で床に伏すのは、なかなか大変だと想像できます。死ぬ直前まで元気でピンピンしていて、突然コロリと死ぬ──といった「ピンピンコロリ」が誰しもの理想ですが、現実がそうなってくれる確率は低いのです。ところで、平均寿命とは、あくまで平均値なのです。90歳時点でも女性の48%、男性の24%は生きており、95歳時点でも女性の24%、男性の9%は生きています(簡易生命表による生存率)。病に臥せったまま、平均寿命まで生きることになったら、家族までも巻き込み、これはこれで大変なのです。

とまれ、日本では、スイスのように「法定安楽死制度」がありません。毎年1億円以上の大口政治献金を自民党につぎ込んできた日本医師連盟(日本医師会の政治団体)が、診療報酬アップと老人医療で儲けるために、安楽死制度には絶対反対だからです(2020年の自民党への政治献金は2億円でした)。寝たきりで体中にチューブを巻き付けられて、意識朦朧の老人であっても、何が何でも延命させて診療報酬をむしり取っているだけなのに、延命こそが医療倫理とうそぶく輩が医師会幹部に多いため、現状はどうしようもない状態になっているのです。

「長生き」が「生き地獄」に!

約44.2兆円(2021年度)の医療費のうち、65歳以上が半分を占める現状もうなずけるのです。このまま少子高齢化が進行すると、65歳以上高齢者の医療費はさらに拡大し、2025年には約50兆円に達すると見込まれています(医療費の窓口負担は、現行では70歳未満が3割、70歳~74歳は2割で年収約370万円以上は3割、75歳以上は1割で年収約370万円以上は3割)。そうなると現役世代の医療費窓口負担も現行の3割ではすまず、4割から5割に、70歳以上の人も現行より負担が増えることが予想されます。結果として医療費負担が重いので、病気になっても医療機関に行けない人も続出するでしょう。世界に冠たる日本の公平平等な健康保険制度も、いよいよ機能不全に陥るわけです。

日本は2013年に、総人口に占める65歳以上高齢者数が25%を突破し、国民の4人に1人が高齢者という超高齢化社会になっています(2021年は29.1%で、2036年には33.3%となり、国民の3分の1が65歳以上となります)。現役時代のようには働けない老後期間が異常に長くなり、今日さまざまな課題が突きつけられることになったのです。「長生き」が、文字通り「生き地獄」に陥る時代が迫ってきたのです。

この記事の著者・神樹兵輔さんのメルマガ

初月無料で読む

 

print
いま読まれてます

  • 安倍氏が残した負の遺産。現役サラリーマン「9割が老後貧困」の現実
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け