日本以外の国にも「ひきこもり」は存在した。治療法はどう違うのか?

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日本特有の現象と言われる「ひきこもり」。学校や勤務先など、外部との交流を避けて家に籠るという現象は、果たして海外にも存在するのでしょうか?今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、そんな調査の結果を紹介しています。

日本特有と言われる「ひきこもり」は海外にも存在するか?

◎要約:『“ひきこもり”は海外にも存在し、原因についての見解に大きな相違はないが、治療に関しては選択の傾向に違いがあるかもしれない』

“ひきこもり”は、日本特有の現象であると言われることがあります。

今回は、予備的研究(本格的な研究の前に行われる準備としての研究)ですが、海外の“ひきこもり”に関する状況を確認しようとした調査をご紹介します。

Does the ‘hikikomori’ syndrome of social withdrawal exist outside Japan? A preliminary international investigation

社会からの離脱としてのひきこもり症候群は日本以外にも存在するのか?

“ひきこもり”の症例を、オーストラリア、バングラデシュ、インド、イラン、日本、韓国、台湾、タイ、アメリカの精神科医に提示し、各国における有病率、原因、診断、自死のリスク、治療についての質問を行いました。

247の回答(123は日本から、124は海外から)があり、239の回答が分析に含まれました。

回答者が感じている内容として、以下が示されました。

・“ひきこもり”は全ての国で(特に都市部で)存在する。

・原因として生物心理社会的、文化的、環境的要因が想定され、それは各国で大きな違いはない。

・日本の精神科医は外来での治療を選択し、中には治療は必要ないと考えている医師もいる。

・海外の精神科医は、入院のような積極的治療を選択する傾向があった。

10年以上前の調査なので、現在はさらに変化が生じているかもしれませんが、海外の精神科医の間でも、“ひきこもり”は広く存在するという認識であることが感じられる内容でした。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 もりさわメンタルクリニック 【発行周期】 日刊

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