ロ軍や世界の状況
ロシア国内では、強硬派が益々勢力を拡大している。政権内の穏健派や停戦派は、事態を見守るしかない状態である。
雪の中でもテントなしなど、冬装備が劣っている動員ロ軍兵は、凍傷や傷病などで大きな支障をきたすような気がする。これを停戦派は心配して、停戦に舵を切りたいが、強硬派は、ロ軍が冬にウ軍を負かすというので、プーチンは強硬派の意見を取った。しかし、実情はロ軍の冬装備は貧弱である。
これを予知して、12月に次の動員令を発出する準備をロシア当局はし始めているようであり、劣勢を大量の人海戦術で押し切ろうとしているようだ。冬の消耗を新しい動員兵で補充するようである。
一方、東部戦線全域で氷点下になり地面が凍結して、自由に動けるので、ウ軍機甲部隊は、次の目標をどこに置くのかということになる。
このため、ウ軍特殊部隊がいろいろな地域に出没しているが、次の目標選定のためであるようだ。
もう1つ、ウ国防次官が「ウクライナはクリミアを年内に取り戻せる」と述べたということは、ドニエプル川東岸かザポリージャ州の攻撃になるが、ロ軍の守備が弱いとも見えない。もう1つ、陽動作戦をウクライナは多用しているので、そのように見せかける可能性もある。
現在の進軍中のスバトボとクレミンナ方面の可能性があるが、ここの守備も動員兵を入れて、徐々に固くなっている。
ということで、ロ軍の意表を突いた地域への進軍になるような気がする。
ウクライナの心配は、ゼレンスキー大統領がポーランド人2名の死亡に対して、謝罪しないことで世界のウクライナに対する見方が冷ややかになることだ。
勿論、この事故調査にウクライナ側人員も参加しているので、近々に謝罪するとは思うが、徐々に支援疲れもあり、遅いことで冷ややかさは残るような気がする。
このような情勢になり、米下院を制した共和党の下院マージョリー・テイラー・グリーン議員率いる極右議員らは、「ゼレンスキーは第3次大戦を始めようとした」と非難して、ウクライナ支援に反対する意向を明言した。米国でウクライナ支援が削減される可能性がある。
もう1つ、支援でウクライナに送ったPzH2000自走榴弾砲で、支援要請したが、支援されずに整備部品不足になり、とうとう1両を共食い整備用に部品取りしたようである。徐々に世界的な支援が先細りしそうな感じになっている。
しかし、フィンランドやスェーデン、バルト3国などは、支援に積極的であり、支援の中心が米国から北東欧・英国にシフトする可能性もある。ロシアに対面する諸国は、ウクライナ戦争は、自国の代わりに行ってくれているという意識が強い。
大多数のロシア資産を凍結する英国は、核ミサイルの攻撃場所と思われているからで、ウクライナを応援するしかないようだ。
ロシアが使用するイラン製ドローンに西側諸国の技術が使われているが、ほとんどが汎用品で規制のしようがないものばかりであり、もし制裁を掛けるなら、イランとの全面的貿易禁止などの制裁をする必要がある。
もう1つのロシア同盟国である北朝鮮は、米全土を攻撃可能な大陸間弾道ミサイルICBMの開発を進めているが、18日の発射で技術的な進展があった新型ICBM「火星17」を高角度で試射したようだ。この1ケ月で50発以上のミサイルを発射している。
ロシア、ベラルーシ、イラン、北朝鮮、シリアなどのならず者の国家群が、大暴れであり、この国家群全体に強度の経済制裁を課す必要がある。これら諸国との経済完全分離が必要になっている。第3国経由も阻止することが必要である。
さあ、どうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2022年11月21日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ
image by: Володимир Зеленський - Home | Facebook