4月以降、67歳までの人と68歳以降の人で「年金額に差異」が生じるワケ

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2.なぜ令和5年度の年金額はこの金額になったのか

さて、68歳到達年度以上の人はなぜ777,800円から792,600円となったのか。まあ1.9%アップ(1.019)ですよね。

そうすると計算としては777,800円×g=792,578≒792,600円としたのか…?

実際はまず、老齢基礎年金の本来の額は平成16年度の「780,900円」を基本の額として使っています。

その平成16年度価額780,900円から毎年の経済変動により、年金額を変更していくのですが令和4年度は777,800円まで変化しました。

令和4年度の基礎年金満額は平成16年度の780,900円に令和4年度改定率0.996を掛けて、777,776円≒777,800円(100円未満四捨五入)としたものです。

この改定率ってところが、物価や賃金などの率を反映させていく部分となります。
平成16年度から令和4年度までに賃金や物価が変動していった結果、令和4年度は0.996(マイナス0.4%)だったという事ですね。

次に令和5年度は物価変動率(今年の最新は前年の数値)が2.5%(1.025)上がったので、それからマクロ経済スライドによるマイナス0.6%(0.994)を掛けると1.025×0.994=1.019(1.9%)となります。

これを前年度である令和4年度の改定率0.996に掛けます。

よって、平成16年度価額780,900円×(令和4年度改定率0.996×物価変動率1.019=1.015)=792,613.5円=792,600円(100円未満四捨五入。月額66,050円)

68歳到達年度以上の人は基礎年金満額であれば777,800円から14,800円アップの792,600円の増額ですね。

ちなみにそんな事しなくても、前年度の777,800円にそのまま1.019を掛けたら、いいんじゃない?と思われそうですが、それだと時々金額がズレてくるんですよね。

令和4年度改定率0.996×1.019=1.014924となりますが、端数処理で1.015となるので、結果が少し変化してしまいます。

では次に、67歳到達年度までの人(新規裁定者)の場合。

こちらは賃金(名目手取り賃金変動率)を使います。

その賃金変動率は2.8%(1.028)でした。マクロ経済スライドはマイナス0.6%なので、1.028×0.994=1.022となります。

令和5年度の基礎年金満額は平成16年度価額780,900円×(令和4年度改定率0.996×賃金1.022=1.018)=794,956.2円=795,000円(月額66,250円)となります。

令和4年度基礎年金満額777,800円よりも17,200円多い795,000円となりましたね。

ここも777,800円に1.022を掛けてやればいいじゃんとやってしまうと…794,911円=794,900円となって金額が上記とズレてしまいます。

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