4.厚生年金額はどうなるのか
次に、厚生年金額はどうなるかというと、もちろんこれも67歳までの人と68歳までの人では年金の伸びが異なってくる事になります。
厚生年金のどこを変化させるのか。
厚生年金計算には必ず使うものがありましたよね。
そう。過去の給与記録である、標準報酬月額とか標準賞与額(賞与は平成15年4月1日以降が年金に反映)です。
ココを賃金変動率や物価変動率を使って変化させて、厚生年金額を変化させます。
例えば、昭和50年ごろの給与(標準報酬月額)が10万円だった人は今の10万円と同じ価値を持つでしょうか。
あれから経済も発展して、賃金も伸びていきましたよね。
どのくらい賃金が伸びてきたのかという係数(再評価率)というものを使って、過去の給与記録を現在の貨幣価値に直して年金を支払うのです。
昔って例えば昭和30年代頃は月給1万~2万円とかで暮らしていた時もありましたよね。当時はそれで十分良かったんでしょうけど、今この令和の時代にそんな額で年金計算したらとんでもなく低い年金になってしまいます。とてもじゃないけど生活できません…
だから、当時の貨幣価値から現在までの賃金の伸びを表した係数である再評価率というものを掛けて、現在の貨幣価値で年金計算をするのです。
そうすると先ほどの昭和50年の時に給料(標準報酬月額)10万円貰った人は、令和現在は再評価率2.7とすると給料(標準報酬月額)27万円として年金計算をします。
こうする事で賃金の価値が将来変化しても、対応できる仕組みになっているわけです。
で、この再評価率に賃金の伸び率を掛ければ、過去の給与(標準報酬月額)全体を変化させる事が出来ます。
よって、先ほどの再評価率2.7に賃金変動率1.022を掛けると2.759(小数点3位まで)となり、10万円×2.759=275,900円の給与記録になります。
もし、昭和50年の12ヶ月で毎月10万円稼いでいた人の厚生年金を計算してみましょう。
そうすると10万円×7.125÷1,000×12ヶ月=8,550円にしかなりません。
再評価率2.759を掛けると、10万円×再評価率2.759×7.125÷1,000×12ヶ月=23,589円となります。厚生年金は過去全ての給与記録にこんな膨大な計算をして支払ってるんですね。
よって、厚生年金はこの過去の給与記録に賃金変動率(67歳到達年度までの人)や物価変動率(68歳到達年度以降の人)を掛けて、毎年年金額を変更しています―― (メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』2023年1月29日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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