急増するメンタルヘルス不調による休職者。その時お金はどうするのか?

 

主治医から休むように言われた……後に回復した!時の復職の進め方が難しいという話

産業医には診察診断する権限がないことがわかりました。さてそんな状態であなたが心身の調子を崩したことに気付いた産業医があなたに受診を指導し、実際何処かに受診をしたとしましょう。体は割とわかりやすいので皆特に思うことは無いかもしれません(心筋梗塞や脳梗塞で絶対安静です!と主治医に言われたのに「いや、働かないと」とは思わないでしょうし、会社も「心筋梗塞程度で休むな」とは……言うところはありそうですけれど周囲の受け入れとしては「いやいや、休んで!?」だと思う)。

ただメンタル面で精神科から「仕事を休みましょう」と言われたらどうでしょう。自分自身がまず「え?休む!?完全に!?」と混乱するかもしれないし、「ああ、よかった、もう限界だったんだ……休んでいいんだ……」と思うかもしれない。ここは結構個人差がありますが、会社としては結構悩ましいところが多いです。

骨が折れていたら歩けるようになったら復職できるだろうな。手術したら傷口がくっついて医者が働けるといえば激しい肉体労働以外ならできるかな。でもメンタルで休んでたらどうなの?仕事させていいの?どこまで何を言ったらこの人のメンタルがまた悪くなっちゃうの???と疑問が山のように出てくるのは自然なことです。

これは「精神科の患者さんへの偏見だ!」と言う反応をするのではなく、「ガチでどうしたらええんかわからん」と言う会社の気持ちも理解しないとアカンのでは?と私は思います(実際会社の方と面談をしていても「回復して戻ってきて欲しい[一から教育するより数年勤務実績のある労働者を継続雇用するほうが会社もメリットがあるのでこれは本当]けど、どう接したらいいのか……」と上司さんが困っておられるケースも多く、ここで精神科主治医がアクティブに会社とやりとりできると復職時に会社も労働者[患者]も安心だと思います。でも残念ながらそこまで付き合ってくれる主治医はとても少ないようです)。

私がやってるからと言って、全精神科医に「復職先の職場と個人的に主治医が面談とか相談を細かくしろ!」とは言えませんが、ここで精神科の主治医と産業医が密に連絡を取り合うことができれば雇用者側の悩みもかなり軽減します。

ただ何度も言いますが産業医は臨床目線で労働者を見ていません(患者さんとして見ていたらダメ)。主治医は臨床目線で患者を見ていますが、それと同じ目線を産業医に持てと言うのは完全に主治医がルール違反をしているのです。

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