急増するメンタルヘルス不調による休職者。その時お金はどうするのか?

 

心身の不調を抱えて仕事が前のようにできない……を予防するのも産業医の仕事

人間生きていれば色々あります。体は元気でもメンタルが折れてしまうような目に遭ったり、メンタルが元気でも急に体調を崩したりしてしまうと前と同じように働くことが困難になることも当然あります。

それを ある程度で防いでめちゃくちゃ悪化する前に受診につなげるのが産業医の仕事の一つです。健康診断をやってるのはポーズでもなんでもなく、産業医がその結果を見て「○○さんの血圧が高いからこのままだと突然脳卒中になるかもしれないから受診を指導しないと」とか「△△さんのストレスチェックの結果がとても悪いから早めに精神科へ受診をうながそう」とかそういうのを判断することで、「いきなり職場で倒れる労働者」の発生をなるべく減らすことが産業医の大事な仕事の一つです(就労時の姿勢を視察して腰痛予防で職場の環境整備を会社に提案したり、などもやってます)。

ここでちょっと疑問が出るかもしれません。「産業医がそのまま治療したらあかんのん?」と。

産業医は診察治療はしない(例外については下記に追記あり)

上記にも書きましたが産業医の資格取得には臨床研修を必要としません。そもそも「産業医業務は診察ではない」という大前提があります。大体の医師は2年間の臨床研修を修了してから臨床をしつつ産業医をやっていたりしますが、極論、臨床研修を修了していなくとも産業医業務は出来ます。

この辺りめちゃくちゃややこしいのですが、産業医として労働者に介入できることは「受診を指導する」ことであり、 産業医には「診察をして休業の是非を決定する」ことは業務的に求められていないし、してはいけません。診察の上で「これは休業しないとダメだな」と判断するのはあくまでも「主治医」の仕事なのです。

ですから時々「ストレスチェックで引っかかってしまった。産業医面談をしろと言われたけど面談で「仕事を休め」と言われたら怖いから面談を受けたくない!」と思って面談を拒否している人は「産業医に休業を決めることはできないのでその心配は無用です」とお伝えしたいなぁと思います。

* 例外について

本来ならば分けたほうが良いのですが、古い会社だと会社内に診療所的な設備を有しており、そこで産業医が診察医としても働いていることがあります。

その場合の診療所で知り得た情報は「労働者の情報」ではなく「患者の情報」になるので診察医はそこで知り得た情報を会社に報告すると守秘義務違反(医師法違反)になります。

同一人物なのに結構ややこしいんですがこれは破ったら訴えられます。

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