デジタルノートツールにもAIの波が押し寄せ、無料で使える範囲やサブスクリプション契約の内容もさまざまで、“乗り換え”を検討していい時期にきているのかもしれません。今回のメルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』では、Evernote活用術等の著書を多く持つ文筆家の倉下忠憲さんが、Evernoteの料金改定のお知らせをきっかけに、ほかのツールと機能や料金を比較。AIの利用にサブスクリプションを課したNotionの方法は、デジタルツールにお金を支払うのをためらう人たちの背中を押す「動機づけ」になると注目しています。
枯れたノートツールを使う
Evernoteの料金改定が発表されました。
● Evernote の価格プラン改定と今後の機能強化に関するお知らせ | Evernote 日本語版ブログ
通常の個人ユースで使われる「Evernote Personal」であれば、年額9300円。月額なら1100円です。さて、この値段は安いのか高いのか。ちなみに月額1100円だとNetflixとだいたい同じくらいですが、動画サービスと比べても仕方ありません。
対抗馬としてよく名前を挙げられているNotionのPlusプランは年払いで96ドルなので、1ドル136円だとすれば、Notionの方がはるかに高くなります。
ただしNotionは個人ユースなら無料プランでも問題なく使えます。その意味ではNotionの方が安いかもしれません。しかし、Notion AIを使うならサブスクリプションが必要で、だったら総合的には同じくらいの料金感覚だと言えるでしょう。
ちなみに、Mac OSなどで使える「Craft」というドキュメントエディタは、Proが年間60ドル。1ドル136円なら8000円くらいで、まあまあの値段感ですが、ストレージの容量が50GBという点には注意が必要でしょう。
Craft Pricing Plans
日記アプリで有名なDay OneのPremiumは月当たり2.92ドルで、12倍したらだいたい35ドルで136をかけて4700円くらい。頭一つ抜けて安い感じがあります。しかもUnlimitedと書いてあるので、容量の上限は(今のところは)なさそうです。
● Day One Premium
これらのツールからどれを選ぶのかは個人的な価値観の問題ですし、そもそもこれ以外にもクラウド同期できるノートツールはたくさんあります。だから皆さん好きに選びましょう、という話なのですが、EvernoteとNotionを比べてみたときにEvernoteはそこまで高い金額ではない、という点だけは確認しておきたいところです。
もちろん、先ほど述べた通りNotionは基本的な利用であれば無料でOKです。たとえばMacのメモ帳よりは高機能なものを使いたい、くらいのニーズならそうしたプランでも十分でしょう。
しかし、いずれデジタルノートにおけるAI利用の話を無視するわけにはいかなくなるでしょうし、仕事で使うならなおさらその話は避け難くなってきます。となると、EvernoteもNotionもさほどかわらない、とは言えるかと思います。
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