ウクライナの状況
7月11日~12日のNATO首脳会議で、NATO加盟のプロセスを簡素化することで合意したが、具体的なスケジュールは示せなかったが、NATOとG7諸国は、ウ軍を戦争中、永続的に支援するとした。しかし、ロ軍との戦いは、ウクライナ一国で戦い続けることになった。戦争終結までは、ウクライナはNATO加盟はできないことも明確化した。
それと、ロシア凍結資産は、ロシアがウクライナへの賠償が済むまで資産を封鎖することになった。
NATO首脳会議で、トルコは、加盟を反対していたスウェーデンのNATO加盟を容認した。この前には、アゾフ連隊の指揮官など5名をウクライナに帰国させるなど、ロシアの意向とは違う動きをし始めた。
それと、エルドアン大統領は、プーチンに穀物協定の延長に同意するように交渉して、プーチンは合意したようである。ロシアは、足元を見られて弱くなっている。
岸田首相もNATO首脳会談に出席して、ウ軍にUAV探知システムを提供するとした。
F-16の訓練が8月より始まることで、来年3月以降にしかF-16が供与されないことになったようである。このため、今行っている攻勢は、来年も続けるという。航空優勢を得ないと、進捗が進まないことによる。
米軍のダグラス・シムズ中将も、ウクライナの戦場状況では現在、F-16戦闘機の運用に「理想的ではない」と述べた。パイロットを訓練で戦場を離れると、ウ軍は空爆ができなくなり、戦況が不利になるということである。
しかし、いつかはF-16の訓練をして、戦況を改善する必要もある。どちらを取るかでしょうね。
現時点、ウ軍は前線での防空システムが不足している。このため、米国は、台湾で退役した対空システム・ホークを買取り、ウ軍に供与するという。徐々にウ軍の問題点をカバーすることで、ウ軍優位を確立したいようだ。
もう1つ、長射程ミサイルATACMS供与もない。米国としても在庫数が少なく、アジアで紛争が起きた時の備えしかなく、現時点で、ウクライナに供与できないようである。
この代わりに、クラスター弾を米国は供与して、ウクライナは非常に有効だと述べ、既に届ているが、ウ軍はまだ使っていないという。
そして、ザルジュニーウ軍総司令官は、クリミア奪還について、「手段が生じ次第、私はすぐに何か行う。誰も私を止められない」とした。この手段として、大きいのが、ATACMSとF-16なのであろう。
この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ