プーチン退陣を画策か?プリコジンを許す独裁者の側近に“不穏な動き”

 

ロシアの状況

ワグナー軍の反乱開始後、数時間で治安部隊はスロビキン大将など軍幹部10人超を拘束し、現在13人を拘束、15人を解任したようである。特に軍情報機関や参謀本部情報総局(GRU)などの高官である。

しかし、プリゴジンと35人の幹部が、プーチンと6月29日に極秘会談を行い、今後、ワグナー軍は8月にもウクライナ戦線で戦うことで、プーチンは罰をあたえないという。ワグナー反乱後3日目に会談をすることに唖然とする。

プーチンは、プリゴジン氏のワグナー軍への指揮権委譲を求めたが、即座にプリゴジン氏は拒否した。今もプリゴジン氏がワグナー軍を指揮している。それと、ロシア国内での移動と通信の自由を認めた。

この対応で反発が起きることになる。軍内部の粛清はするが、反乱したワグナー軍は、許すという、ハチャメチャな対応をプーチンは行っているからだ。これには、軍内部から文句が出ると思った。

早速、第58諸兵科連合軍指揮官イワン・ポポフ少将は、「対砲兵戦の不足、砲兵偵察所の欠如、交代要員もいないことで長期にロ軍兵は前線にいること、そして敵火砲により我が軍に大量の死傷者が出ている状況に疑問がある」とゲラシモフ総司令官に提言した。

なぜ、ポポフ少将は、このような提言をしたのかというと、後方に予備兵力がなく、前線部隊を突破されると、後方はスカスカでウ軍にアゾフ海まで、ほとんど抵抗もできずに進軍される危険性を感じたからだと小泉悠さんはいう。

なぜ、後方の予備部隊がいないかというと、予備部隊をルハンシク州クレミンナに移動させて、カウンター反転攻勢に使うためであり、前線部隊の司令官が見ている戦争とゲラシモフなどの上位司令官で見る戦争の違いが、その根本にあるようだ。

そして、即座に提言をしたポポフ氏は解任された。多くのロシア情報筋はポポフ氏を「知的で有能な権威者」で、「軍隊から支持、尊敬される優れた指揮官だ」だとしている。ロミルブロガーはポポフ少将に高い評価を与えている。反対に、ゲラシモフとショイグへの長年の軽蔑が情報空間で顕在化している。

しかし、ロ軍では、有能な司令官たちを喪失しつづけている。続いて、バフムト正面の主力部隊の106空挺師団長セリヴェストロフ少将も解任された。ポポフ少将と同じ不満を前線部隊の司令官は共有しているようだ。負け戦の前線司令官は大変である。専制主義国家の部隊は上意下達であり、現場の問題点を上にあげることは御法度である。上位司令官に反逆したことになるからだ。

これは、ウ軍にとっては良いことである。

それと、プリゴジン氏が指揮権を持つワグナー軍は、ウクライナの戦場には登場できない。このため、ワグナー軍のような自由で創意に満ちた戦闘員が、ウ軍への攻撃をしないことになる。これもウ軍によっては良いことである。

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