日本国民に対する裏切り行為。アメリカの意向に沿い国の形を変えてきたポチぶりを米国議会でアピールした岸田演説の“狂気の沙汰”

 

「今日のウクライナは明日の東アジア」という無責任極まりないセリフ

広島出身の私は、自身の政治キャリアを「核兵器のない世界」の実現という目標にささげてきました。NPT(核兵器不拡散条約)体制の再活性化と、国際的機運の向上に長年取り組んでまいりました。しかし、東アジアでは、核兵器拡散の差し迫った危険が存在します。北朝鮮による核・ミサイル計画は、直接的な脅威です。北朝鮮による拉致問題は、引き続き重大な問題です。北朝鮮による挑発は、地域を越えたインパクトをもたらしています。北朝鮮は、ウクライナに対する侵略戦争を支援するための弾道ミサイルをロシアに輸出し、その結果、ウクライナの人々の苦しみを大きく増大させています。

辻野突っ込み:よく言うよ、と思います。広島出身を売りにしながらも、米国の顔色を窺って核兵器禁止条約(TPNW)への参加すら見合わせている立場で、自身の政治キャリアを「核兵器のない世界」の実現という目標にささげてきたとは、詭弁もたいがいにして欲しいものです。

それこそ、本気でそう言うのであれば、昨年5月のG7広島サミットはその主張に沿ってG7各国の背中を押す最大のチャンスだったわけです。しかし、声明文の中でも核による抑止力を肯定し、サプライズでウクライナのゼレンスキー大統領の訪日まで受け入れて、まるでG7というよりもNATOの会合のような内容に失望した国民も多かったのではないでしょうか。

そして、核の脅威を語るのであれば、北朝鮮の話に逃げるのではなく、それこそ世界で唯一人類に対して核攻撃を仕掛けた国である米国に対して強くその反省を求め、二度と使わないことを誓わせることこそが世界で唯一の被爆国日本の代表がその加害国に対して示すべき態度でしょう。

特に、映画『オッペンハイマー』が先月から日本でも公開されたばかりですから、直接的に言いにくいのであれば、この映画について触れる形で上手にクギを指すメッセージを盛り込むような機転を利かせることも出来たのではないかと思います。

ロシアのウクライナに対するいわれのない、不当で残酷な侵略戦争は3年目を迎えました。私がよく申し上げているとおり、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれません。さらに、ロシアは核による威嚇を継続しており、核兵器の惨禍が実際に再び繰り返されるのではないかと世界が懸念しています。このような現実の中で、日米同盟の抑止力の信頼性と強靱(きょうじん)性を維持するために、日米間の緊密な連携がこれまで以上に求められています。

辻野突っ込み:この辺からにわかにきな臭くなってきます。岸田氏は、まるで決めゼリフのように「今日のウクライナは明日の東アジア」とよく言いますが、これもかつて安倍元首相が決めゼリフにしていた「台湾有事は日本有事」を彷彿させる無責任極まりないセリフです。

有事に至るのは外交の失敗です。日本の政治家の責務は、台湾有事を起こさないように、あるいは明日の東アジアの平和と安定を守るために、前述した通り中国や今や敵国となったロシアと積極的に対話をしたり米国との間を取り持つことでしょう。その努力を怠って無責任に脅威を煽るような発言を継続することは、一国の首相として慎むべきであると思います。

ロシアの核による威嚇と言いますが、そもそもトランプ大統領時代の2018年に、ロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約から一方的に離脱したのは米国の方です。繰り返しますが、日米同盟が重要なことは当たり前ですが、一方で、国際情勢の変化に応じて、日米間の連携については、むしろ適度な距離や節度を保つことこそがこれまで以上に求められているのです。

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