日本国民に対する裏切り行為。アメリカの意向に沿い国の形を変えてきたポチぶりを米国議会でアピールした岸田演説の“狂気の沙汰”

 

平和憲法を掲げる日本国民に対する裏切り行為

今この瞬間も、任務を遂行する自衛隊と米軍の隊員たちは、侵略を抑止し、平和を確かなものとするため、足並みをそろえて努力してくれています。私は隊員たちを賞賛し、感謝し、そして、隊員たちが両国から感謝されていることが、私たちの総意であると知っています。

辻野突っ込み:自衛隊と米軍とでは、そもそもミッションが全く異なります。その両者を一体として扱うようなメッセージは誤解を招くものであり厳に慎むべきです。

「自由と民主主義」という名の宇宙船で、日本は米国の仲間の船員であることを誇りに思います。共にデッキに立ち、任務に従事し、そして、成すべきことをする、その準備はできています。世界中の民主主義国は、総力を挙げて取り組まなければなりません。皆様、日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。米国は独りではありません。日本は米国と共にあります。

辻野突っ込み:ここでは、自衛隊と米軍ということだけでなく、さらに踏み込んで両国が一心同体のような表現をしています。言うまでもなく、両国はそれぞれ別々の独立国家であり、国の成り立ちも歴史も全く違います。お互いに大切な同盟国ではありますが、まるで運命共同体であるかのようなメッセージは国際社会に間違った印象を与えることにもなります。同盟国ではあっても、当然利害が一致することもあれば対立することもあるので、ここまで言い寄るのは明らかに度を越えています。

日本は長い年月をかけて変わってきました。第二次世界大戦の荒廃から立ち直った控え目な同盟国から、外の世界に目を向け、強く、コミットした同盟国へと自らを変革してきました。日本は国家安全保障戦略を改定しました。インド太平洋地域の将来の安定に関する不確実性が、私たちの政策、さらには考え方自体を変える契機となったのです。私自身、日米同盟を一層強固なものにするために、先頭に立って取り組んできました。

2022年、日本は、2027年度までに防衛予算をGDP(国内総生産)の2パーセントに達するよう相当な増額を行い、反撃能力を保有し、サイバーセキュリティーを向上させることを発表しました。今日、日米同盟の抑止力は、かつてなく強力であり、それは米国の日本への拡大抑止によって強化されています。

日本は、ロシアによるウクライナ侵略を受け、強力な対露制裁を実施しています。ウクライナに対し、対無人航空機検知システムを含む120億ドル以上の援助を表明してきました。このシステムの供与は、NATO(北大西洋条約機構)による支援策の一環であり、そう、日本は、地球の裏側にあるNATOとも協力しているのです。さらに、2月、荒廃したウクライナがこの苦難の時を乗り越えることを支えるべく、私はウクライナの経済成長と復興のための会議を主催しました。日本はこれからもウクライナと共にあります。

地政学的な状況が変化し、自信を深めるにつれ、日本は米国の最も近い同盟国という枠を超えて、視野を広げてきました。日本はかつて米国の地域パートナーでしたが、今やグローバルなパートナーとなったのです。日米関係がこれほど緊密で、ビジョンとアプローチがこれほど一致したことはかつてありません。

辻野突っ込み:上記の4段は、今回の岸田演説のまさにクライマックスと言えるでしょう。そして、ここで述べられていることは、安倍政権の時代から岸田政権の時代にかけて、国民への説明や国民との合意形成を十分に行わないまま、政権が米国の意向に沿って勝手に日本という国の形を大きく変えてきたことについて、懸命にアピールしている内容と言えます。

米国と欧州の軍事同盟であるNATOのメンバーでもないのに、NATOに協力していることを誇らしげにアピールするのは、平和憲法を掲げる日本国民に対する裏切り行為とも言え、私には狂気の沙汰としか思えません。

また、本来、ウクライナへの支援はウクライナ国民への人道支援に限定すべきであり、ウクライナ政府への軍事支援に加担するようなことは断じてすべきではないと思います。「日本はこれからもウクライナと共にある」というメッセージは、ウクライナ政府やNATOに加担し続けるというメッセージでもあり、あまりにも軽率です。

軍事力を強化してNATOとも協力し、これからは米国のグローバル・パートナーとして地球の裏側で起きる紛争や戦争にも日本は積極的に介入すると宣言したにも等しいこのメッセージは、まさに日本国憲法をないがしろにするものであり、許し難い思いがするだけでなく、日本の将来に禍根を残すものとなることを憂えます。

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