屈辱的で強烈な違和感が残る最低の売国演説
つい昨日、バイデン大統領と私は、AI、量子、半導体、バイオテクノロジー、クリーン・エネルギーといった次世代の新興技術の発展において、日米両国が世界をリードすることへのコミットメントを示したところです。そしてまた、両国間の協力分野は宇宙にも広がっています。これは、明るく希望に満ちた明日への道を照らしています。1969年のアポロ11号による月面着陸のテレビ中継は、今でも私の記憶に焼き付いています。
1月に、日本の月探査機は、史上初の月面へのピンポイント着陸を達成しました。昨日、バイデン大統領と私は、アルテミス計画の将来ミッションにおいて、日本人宇宙飛行士が米国人以外として初めて月面に着陸することとなると発表しました。本日は、2名の宇宙飛行士に来ていただいています。星出さん、タニさん、御起立いただけますでしょうか。星出彰彦氏は、これまでに3回、宇宙に飛び立たれてきました。また、2021年には国際宇宙ステーションの船長を5か月間務められました。
隣にいらっしゃるのはダニエル・タニ氏です。タニ氏は、船外活動を6回経験した日系米国人の元宇宙飛行士で、2回のミッションでは、なんと5,000万マイル以上のフライトを達成しました。ものすごい大量のマイレージ・ポイントになりますね。星出氏とタニ氏は、宇宙における日米協力の象徴的存在です。両国は今後も、このような協力をもっともっと将来にわたって築いていきます。お二人ともありがとうございました。
最後に、一言述べて締めくくらせていただきます。日本が米国の最も近い同盟国としての役割をどれほど真剣に受け止めているか。このことを、皆様に知っていただきたいと思います。私たちは共に大きな責任を担っています。日米両国は、平和にとって、自由にとって、そして繁栄にとって、必要不可欠な存在です。そう私は信じます。信念というきずなで結ばれ、私は、日本の堅固な同盟と不朽の友好をここに誓います。
「未来のためのグローバル・パートナー」。今日、私たち日本は、米国のグローバル・パートナーであり、この先もそうであり続けます。本日の御招待、皆様のおもてなし、そして米国が世界で果たしている役割に感謝します。
(岸田首相演説終わり)
辻野突っ込み まとめ:以上、岸田首相の米議会での演説にさまざま勝手な突っ込みを入れさせていただきました。日本のメディアでは、「意外と英語が上手だった」とか「米議員たちから賞賛された」などと表面的なことばかりをポジティブなトーンで報じるものが目立ちましたが、私にとっては非常に屈辱的で強烈な違和感が残る最低の演説に思えました。
歴史的に、日本は太平洋戦争で敗戦国になったことにより、米国の占領下に入り、その後、サンフランシスコ平和条約の締結によって形式的には独立国としての主権を取り戻しました。しかし、実質的には、日米合同委員会や米軍基地問題、横田空域問題などに象徴される通り、米国を宗主国とする従属関係が未だに続いていると言えます。日本のトップが本来果たすべき役割は、戦後今日まで続くこの従属関係を脱却した主権国家としての本来のポジションを取り戻すことにあると思います。
米大統領や米議員を相手にした答礼の演説とはいえ、あたかも対等な立場の同盟国であるかのような詭弁を弄しながら、美辞麗句を並べ立てて米国を過剰に持ち上げ、「信念というきずなで結ばれ、私は、日本の堅固な同盟と不朽の友好をここに誓います」という締めの言葉で国際社会に日米が運命共同体であることを宣言した今回の岸田首相の演説は、歴史に残る売国演説であったと言わざるを得ません。
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