中国の脅威を煽ったり強がりを言う前にまず見直すべきこと
およそ人類は、権威主義的な国家に抑圧されるような、つまり、追跡され、監視され、自己の内心の表現を否定されるような生き方はしたくない。米国の政策はそのような前提に基づいていました。
辻野突っ込み:2001年の9.11同時多発テロ以降、対テロ諜報活動の名目で、NSA(米国家安全保障局)などが米国の一般市民だけではなく、同盟国含めた各国の通信を傍受・監視していることはエドワード・スノーデンが命懸けで告発しており、この話はオリバー・ストーン監督によって映画にもなっています。
米国は、自由こそが人類にとっての酸素のようなものだと信じていました。この世界は、米国が引き続き、国際問題においてそのような中心的な役割を果たし続けることを必要としています。しかし、私は今日、一部の米国国民の心の内で、世界における自国のあるべき役割について、自己疑念を持たれていることを感じています。
この自己疑念は、世界が歴史の転換点を迎えるのと時を同じくして生じているようです。ポスト冷戦期は既に過ぎ去り、私たちは今、人類史の次の時代を決定づける分かれ目にいます。米国が何世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、新たな挑戦に直面しています。そしてそれは、私たちとは全く異なる価値観や原則を持つ主体からの挑戦です。自由と民主主義は現在、世界中で脅威にさらされています。
辻野突っ込み:国際秩序への新たな挑戦とは、中国やロシアの脅威を指しているのでしょうが、米国に迎合していたずらに対立の構図を強調するのではなく、今こそ異なる価値観や原則を持つ国々との対話の重要性や、彼等も含めた新たな合意形成や国際秩序の構築が求められている、その為に日米で協力していこう、ということこそを主張すべきでしょう。自分たちと異なる価値観や原則を持つ国々を単純に敵や脅威と見做すようでは、未来永劫世界平和など実現しません。
それにしても、自民党政治や岸田政権によって、今や足元自国での自由と民主主義がかつてない脅威にさらされてることをこの人はどこまで自覚しているのでしょうか…
気候変動は、自然災害、貧困、そして地球規模での避難民を引き起こしています。新型コロナウイルスのパンデミックでは、全人類が苦しみました。AI(人工知能)技術の急速な進歩により、AIの本質をめぐり、その将来性と危険性との狭間で、攻防が繰り広げられています。経済力のバランスは変化しています。グローバル・サウスは、課題と機会の双方に対処する上で一層重要な役割を果たし、より大きな発言力を求めています。
日本の近隣諸国に目を向けると、現在の中国の対外的な姿勢や軍事動向は、日本の平和と安全だけでなく、国際社会全体の平和と安定にとっても、これまでにない最大の戦略的な挑戦をもたらしています。中国からのこのような挑戦が続く中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序や、平和を守るというコミットメントは、引き続き決定的な課題であり続けます。
辻野突っ込み:ここでも米国受けを前提に中国の脅威を煽っていますが、岸田政権は中国とほとんど対話をしていません。米国追従一辺倒で国内支持率が低迷する岸田政権を中国がまったく相手にしていない、という現実がありますが、中国の脅威を煽ったり強がりを言う前に、まず日本の対中外交を見直すべきでしょう。
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