若き小池百合子に「チャンスを授けた」男性記者たちのスケベ心
石井氏はこう書いている。「朝日新聞に限らず、各社の男性記者たちは、小池にさまざまなチャンスを授けた。中東通としてテレビに登場する新聞記者の大半は、アラビア語を解さない。男社会の中で生きている彼らは小池のような女性に一様に甘く、親切だった」
その後、小池氏は日本テレビの「竹村健一の世相講談」のアシスタントキャスターに抜擢されたのをきっかけに放送界に足を踏み入れ、1988年にはテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」初代メインキャスターに就任し、名を広く知られるようになる。
元首相、細川護熙氏に誘われて「日本新党」に入ったのが政界入りのきっかけだが、細川氏に小池氏を推薦したのも元朝日新聞記者の伊藤正孝氏だったといわれている。
朝日新聞、予想どおりに「告発」をスルー
「ウソをつかせ続けてきたメディアの責任も重い」と指摘するのは小池氏がエジプトに留学していたころの同居人、北原百代さんだ。「女帝 小池百合子」のなかで、1976年、すなわち小池氏がカイロ大を卒業したと主張する年に、小池氏は進級試験にさえ落第し、卒業はしていないと証言している。
北原さんが月刊「文藝春秋」5月号で発表した手記によると、小池氏が東京都知事になったころ、北原さんはある決心をした。
事実を自分の胸にしまい込んでいていいのだろうかと不安にかられ、メディアに伝えようと思い立ったのだ。
そこでまず朝日新聞に配達証明郵便で手紙を送った。「小池百合子さんは学歴を詐称している。自分は同居しており、全てを知っているので話を聞いてくれないか」という内容だった。
ところが、朝日新聞からは全く連絡がなかった。聞きたくない話だったのだろう。
北原さんの言うことが事実なら、小池氏の「カイロ大卒」という肩書を記事に利用し、事実として世間に流布してきた朝日は、結果的に学歴詐称に加担したことになる。
いまさら「訂正記事」など書きたくない、知らなかったことにしよう。そんな意思が感じられる。
だからこそ、今年4月30日の「乙武氏補選惨敗」に関する記事で、小池知事の「勢い」の衰えに言及しながら、その根本原因である学歴詐称問題にはひと言も触れなかったのではないか。