記者サーの姫を守り続ける、都庁記者クラブの閉鎖性
朝日新聞だけではない。そもそも都庁記者クラブ加盟の大手メディア各社は、小池知事の元側近、小島敏郎氏(弁護士)が文藝春秋に告発手記を発表した後も、ほとんどといっていいほどこの問題を報じていない。
追及しているのは週刊誌やネットメディアだけだ。
都庁クラブの加盟社は、新聞6紙(朝日、毎日、読売、産経、日経、東京)とNHK、民放テレビ5局(日テレ、テレ朝、TBS、フジ、テレ東)、民放ラジオ2社(文化、ニッポン)、通信2社(共同、時事)である。
記者クラブは、広く発表の場を提供してはいるが、官庁が記者にサービスするという観点からは、いわば行政側と記者の“サロン”としての側面を持つ。
閉鎖的な情報空間のなかで、ともすれば情報を一手に握る行政トップに嫌われないよう記者側が忖度しがちである。
とりわけ小池知事の場合、自分に好意的な記者を優遇する傾向が強いといわれ、知事に邪険に扱われまいとしてシッポを振る記者の姿が想像できる。
文藝春秋がジャーナリズムの砦として機能
文春砲や海外メディアが報じ、ネット界隈で騒がれても、新聞、テレビが沈黙を続ける。
最近ではジャニーズの例でも見られた構図だが、それは記者クラブを中心に各社横並びの取材を習わしとするマスメディアの深刻な病弊である。
乙武氏の落選に関する記事を書くとき、ネットの世界を賑わしている小池都知事の学歴詐称問題を抜きにして、本質を伝えることができるだろうか。政治の実相を抉り出すことが可能だろうか。
新聞やテレビ局が学歴詐称問題に知らぬ顔をしてくれたにもかかわらず、東京・江東区の有権者が小池知事に冷ややかになったのは、間違いなく文藝春秋の報道とネットの拡散効果によるものだ。