パリ五輪の卓球で韓国人選手が見せた“敗者の品格”に観客から大歓声

 

しかし早田はやはり相当の相手だった。第2ゲームでは、デュースの接戦の末、ハヤタが13-11で勝利し、ゲームスコアを1-1の原点に戻した。早田は試合序盤、3回連続でサーブがネットになったりもした。国際大会では異例の場面といえる。これでしばらく流れが途絶え、一点を奪われたシン・ユビン。しかし、再び早田の2連続凡失を誘導し、4-1までリードした。しかし、早田はシン・ユビンのバックサイドをうまく攻略し、勝負を5-6とひっくり返した。

その後、シン・ユビンが勝負を9-9の原点に戻した後、10-10になってデュースとなったが結局、早田のフォアハンドトップスピンを防げず、2ゲームを許してしまった。

そして続く3ゲームと4ゲームも早田ひなが勝ち切り5ゲーム目となった。5ゲーム目に突入すると、シン・ユビンは5-3でリードしていた状況で、強力なバックハンド攻撃とフォアハンド攻撃を交互に駆使し、連続得点に成功し、シン・ユビンが5ゲーム目は取った。しかし依然としてゲームスコア2-3でリードされているシン・ユビン。結局6ゲーム目も早田が取ってゲームスコア2-4でシン・ユビンは苦杯をなめることになった。(早田ひなの銅メダルが確定)

一方、早田は銅メダルが確定すると、コートにそのまま横になった後、喜びの感情をそのまま表した。しばらく立ち上がれないまま、とても感激した様子。一方、シン・ユビンは審判と順番に挨拶を交わすためにコートの両側を行き来した。続いてシン・ユビンが近づいたのはまさに早田ひなだった。横になっていた早田は、シン・ユビンが近づいてくるのを見るや、すぐに立ち上がった。そんなハヤタに向かってシン・ユビンは抱き合ってお祝いの言葉をかけた。「敗者の品格」が輝いた瞬間だった。

また、シン・ユビンは日本人監督にも近づき、礼を尽くしてお祝いの意を伝えた。もしかしたら天敵にうんざりしていたかもしれないが、シン・ユビンではあったが明るく笑って心から早田の勝利を祝福してあげた。

その後、シン・ユビンはベンチに戻った後、しばらくコートを離れることができずそのまま座っていた。女子卓球代表チームの呉光憲(オ・グァンホン)監督は、何かしばらく言葉をかけた。しばらくするとようやくシン・ユビンが立ち上がった。

すると観客席からは力強い拍手が沸き起こった。シン・ユビンはコートを一周しながら手を振った後、挨拶もした。すると、奇跡のように観衆の皆が立ち上がった。そんなシン・ユビンに向けて韓国や中国、日本のファンはもちろん、この日競技場を訪れたパリ市民もシン・ユビンが競技場を完全に抜けるまで熱い起立拍手を送った。

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