誰でも目をつけられればスパイにされてしまう可能性も
加えて、中国が2023年7月にスパイ防止法を改正して、罰則を強化したことも、記者の大きな負担となっています。改正法ではスパイ行為は「国家の安全と利益に関わる情報を提供すること」と広く定義されることになりました。誰でも目をつけられれば、スパイと目されてしまう可能性があるのです。
しかも、犯罪が立証されなくても、状況から判断するだけで、5万元(約110万円)の罰金を課すことができるといいますから、非常に恐ろしい事態になっています。
こうした動きは外国人ジャーナリストに対してのみならず、外国人学者においても行われてます。中国の大学で博士号取得を目指したり、研究者として働いている外国人は、中国当局から、中国そのものについてではなく、自国について論文を書くように圧力をかけられているそうです。
しかし中国という環境にいながら、論文に自国のことを書くなら、そもそも中国の大学に留学する理由など、まったくなくなってしまいます。
以前から、中国の「歴史認識」に沿わない発言をする歴史研究者などは、中国現地でのフィールドワークができないと言われてされてきました。そのため、どうしても中国の歴史認識に同調せざるをえなくなるという話がありました。
これまで中国が問題にする日中間の歴史認識とは、主に戦前戦中のことに限られてきましたが、これが全歴史にわたり、中国共産党の意思に沿わなくてはならないとなれば、その研究者は、いったい中国に行って何を研究するのか、ということになります。結局学び発表するのは真実ではなく、中国のプロパガンダを広めることだけになってしまいますし、それに反すれば、スパイとして逮捕される可能性もあるわけです。
逆に言えば、もう中国の歴史認識に同調する必要もなくなるのですから、日本国内でもより自由で活発な議論ができるようになることを期待します。
以前のメルマガでも述べたように、中国へは旅行で行くにしても、かなりリスキーだと言わざるをえません。多くのメディア関係者や研究者まで中国から逃げ出している現状であり、近づかないほうがいいのです。
【関連】中国政府のタイミングを図ったような動き。“放送ジャック事件”に揺れるNHKに隣国のスパイが潜んでいるこれだけの証拠
【関連】「南京大虐殺、性奴隷、731部隊を忘れるな」。NHK放送ジャックした中国人スタッフが「尖閣」以外も全世界に流した“不適切どころではない”発言
【関連】中国が「平和の祭典」でも暴挙。パリ五輪会場で観客から台湾応援グッズを没収の“指示”を出したのは誰か?
【関連】中国人スパイが市の顔に?カジノ摘発で発覚したフィリピンの市長“なりすまし疑惑”に感じる中国の得体のしれない恐怖
【関連】なぜ習近平はここまで焦っているのか?新総統就任の台湾を脅し続ける中国の“大国”らしからぬ振る舞い
最新刊
『中華思想の正体と行方 中国の恐ろしい未来』
好評発売中!
image by: plavi011 / Shutterstock.com
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2024年9月4日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
初月無料購読ですぐ読める! 9月配信済みバックナンバー
- メディアや研究者も逃げだす中国の危険な状況/柯文哲逮捕! その背景と民衆党の今後(9/4)
こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー
※ 初月無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。
- メルマガ事務局より読者の皆様へ重要なお知らせ/NHK放送ジャック問題、局内に中国スパイが潜む懸念も?/いまだ続出パリオリンピックでの中国問題(8/28)
- 中国人スタッフによるNHK放送ジャック、「尖閣」以外にもあった危険な発言/若者に人気の民衆党・柯文哲に不正疑惑(8/21)
- 韓国政府は日本の「汚染水」風評加害者に謝罪と賠償を求めるべき/台湾に学ぶ「国の名誉のために戦った者」への敬意の示し方(8/14)
- 中国の台湾侵攻を描いたドラマ、予告編が世界に衝撃を与えたその内容/分断と対立が目立つ大会、中国からの嫌がらせをフランスもIOCも黙認?(8/7)
- パリ五輪、政治利用と不満噴出の中国、称賛される日本/夏休み、台湾映画が熱い! 注目作品が続々日本公開(7/31)
- パリ五輪「世界の一員」をアピールする台湾へ中国のいやらしい恫喝/パリ五輪後、高まる「中国の台湾侵攻」の懸念(7/24)
- 「もうトラ」で急変、台湾有事と次の日本首相の行方/ますます露骨で強引な浸透工作を展開する中国(7/17)
- 最近の中国で甚大な水害が発生する人的理由と高まる習近平への怨嗟/都知事選以降、「極左化」に引きずり込まれる第一野党の行方(7/10)
- 反日ができなくなった中国の焦り/繁栄する台湾、没落する中国(7/3)
- 日本のジェンダー平等が世界的に低いからくり/期待される頼清徳総統の活躍(6/26)
- 神宮外苑の再開発中止は何をもたらすか/中国の嫌がらせに自己防衛力強化を訴える新総統(6/19)
- 習近平の腐敗露見、膨れ上がる人民の憎悪/頼清徳政権に反発する中国の嫌がらせ(6/12)
- 訪日中国人に「中国共産党の真実」を教える拠点となる日本/ますます世界争乱の元凶と化す中国(6/5)