7割以上の外国人ジャーナリストが携帯電話「盗聴」の被害に。いま中国を離れる海外メディアが急増しているワケ

 

誰でも目をつけられればスパイにされてしまう可能性も

加えて、中国が2023年7月にスパイ防止法を改正して、罰則を強化したことも、記者の大きな負担となっています。改正法ではスパイ行為は「国家の安全と利益に関わる情報を提供すること」と広く定義されることになりました。誰でも目をつけられれば、スパイと目されてしまう可能性があるのです。

しかも、犯罪が立証されなくても、状況から判断するだけで、5万元(約110万円)の罰金を課すことができるといいますから、非常に恐ろしい事態になっています。

こうした動きは外国人ジャーナリストに対してのみならず、外国人学者においても行われてます。中国の大学で博士号取得を目指したり、研究者として働いている外国人は、中国当局から、中国そのものについてではなく、自国について論文を書くように圧力をかけられているそうです。

しかし中国という環境にいながら、論文に自国のことを書くなら、そもそも中国の大学に留学する理由など、まったくなくなってしまいます。

以前から、中国の「歴史認識」に沿わない発言をする歴史研究者などは、中国現地でのフィールドワークができないと言われてされてきました。そのため、どうしても中国の歴史認識に同調せざるをえなくなるという話がありました。

これまで中国が問題にする日中間の歴史認識とは、主に戦前戦中のことに限られてきましたが、これが全歴史にわたり、中国共産党の意思に沿わなくてはならないとなれば、その研究者は、いったい中国に行って何を研究するのか、ということになります。結局学び発表するのは真実ではなく、中国のプロパガンダを広めることだけになってしまいますし、それに反すれば、スパイとして逮捕される可能性もあるわけです。

逆に言えば、もう中国の歴史認識に同調する必要もなくなるのですから、日本国内でもより自由で活発な議論ができるようになることを期待します。

以前のメルマガでも述べたように、中国へは旅行で行くにしても、かなりリスキーだと言わざるをえません。多くのメディア関係者や研究者まで中国から逃げ出している現状であり、近づかないほうがいいのです。

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