大暴発で日本をも巻き込む“惨禍”を生み出すのか、アメリカ本土への「核発射」で勝手に自爆か?北朝鮮という最も厄介な“隣人”

 

韓国政府の行動がロシアに与えかねない「格好の口実」

報道では「韓国政府は北朝鮮兵の活動監視のためにウクライナに要員を送る」と報じられていますが、現時点では韓国軍のウクライナへの派兵には至らず、あくまでも情報収集のためとのことですが、ウクライナの求めに応じて武器弾薬の提供も選択肢に入っているようだ、と、先日ソウルで協議した複数の専門家が話しています。

この“武器供与”の部分については、その出所とされるアメリカ軍は韓国軍に対して「あくまでも防衛のための装備に限定すべき」と慎重な対応を要請しているようですが、韓国政府が自国の安全保障への脅威を強く感じた場合、自国民への義務・国家安全保障上の必要な支援と位置付けて、ウクライナに対ロ攻撃用の武器・装備を供与する可能性も否定できないようです。

もし韓国政府がウクライナに対して攻撃用兵器を供与することを決めた場合(実際に検討されているらしい)、それはロシアに対して複数の点について格好の口実を与えることになります。

1つは【韓国を親NATO国と認定し、有事の際には攻撃対象にし得る】という点です。

これは見事にこれまでお話ししてきたような“朝鮮半島有事”の場合に、【友好国である北朝鮮が韓国からの脅威に曝されているため、ロシアは介入・派兵の口実を得る】というものです。

妄想と言われたらそれまでですが、全くあり得ないシナリオとは言い切れないでしょう。

2つ目は【ロシアが中国との微妙なギクシャクを修正するために、韓国とその背後にいる日米豪などを脅威としてアピールし、北東アジアの安全保障環境を緊張させる】ことです。

こうすることでロシアは国際社会の注目を北東アジアに向け、ウクライナ戦線およびBeyondウクライナ(バルト三国など、反ロシアの国々)に手を伸ばす時間的な余裕を得ることに繋がるかもしれません。

しかし、中国はあまり当該地域の緊張の高まりを、現時点では望んでおらず、今、国際社会の目が中東地域とロシア・ウクライナに向いている間に、アジア太平洋地域での勢力拡大に勤しもうとしているように見えますので、よほど差し迫った危機がない限りは、ロシアの誘いに簡単に乗ってこないかと思われます。

ただ、中国としては昨今、ロシアと北朝鮮の接近により、北朝鮮政府に対する影響力が低下しているというジレンマが問題視されているのも事実で、見事に北朝鮮のゲームに乗せられていることは自覚しつつも、コントロールを維持する方策を模索しているようです。

中国が前のめりになりやすい状況の例としては、もし日米韓プラスアルファによる朝鮮半島およびアジア地域への介入度合いが、中国にとって過度であり、かつ中国を敵視しているという認識を示す場合です。

この場合、若干ギクシャクしているとはいえ、反米勢力圏を拡大することで目的が一致しているロシアと中国は、一旦ギクシャクは横に置き、北朝鮮への脅威を“自分たちへの挑戦”とすり替えて、北東アジア地域での緊張を利用する戦略を取るかもしれません。

中国政府は北朝鮮の核兵器の能力が向上し、かつ弾道ミサイルの能力が格段に上がっていくことを良くは思っていませんが、北東アジア地域およびアジア太平洋地域における日米韓の影響力の高まりを止める楔として、北朝鮮の行いを正当化するか黙認し、核兵器の開発・存在さえも、対日米韓陣営の勢力拡大を阻む抑止力として利用することも考えられます。

この心理を北朝鮮の当局は戦略的に今、用いているようです。中国が頑なに反対する北朝鮮による7回目の核実験も、それを強行する可能性をカードとして用い、ロシアからの支援とロシアとの協力を強化しつつ、中国から何か(恐らく経済・食糧支援など)を引き出そうという魂胆が見えてきます。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

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