「いつでも核を落とせる」プーチンが核弾頭搭載可能の弾道ミサイル発射で尽きかける全世界とウクライナの命運

 

あと数か月の時限爆弾と見ることもできる米英のウクライナ支援

イタリアやスペイン、ポルトガルなどの南欧諸国は、かつて、特にイタリアは反ロシアでNATOの主要な一員としてウクライナ支援をけん引してきましたが、昨年10月7日以降の中東地域での情勢悪化と、イタリアの部隊が派遣されている駐レバノンPKFに対するイスラエル軍の攻撃などを受けて、外交・安全保障政策の重点を転換し、中東全域が戦火に巻き込まれる恐れが高まると、その影響が直接的に地中海を介して南欧にも飛び火するとの分析結果が示され始めたのを機に、ウクライナ支援の輪からは次第に距離を置き(外交的なモラルサポートは継続しているが)、安全保障・外交上の重点を対イスラエル・対中東に移し、かつ南欧諸国と協力して、戦火が欧州に広がらないようにするための予防策に力を入れ始めています。

ウクライナがロシアを押し返し、いずれ実現する停戦においてできるだけ良い条件を得るためには、継続的な一枚岩の支援がNATO各国から必要になりますが、すでにその支援網の結束は緩んでいると言え、ウクライナの命運はアメリカと英国の本気度に関わってくると言っても過言ではない、非常に不安定な状況に陥ることになります。

バイデン政権は来年1月には終焉し、「私ならば就任後24時間以内の停戦を実現する」と豪語するトランプ氏が新しい政権運営を始め、恐らく対ウクライナ支援を停止するか大幅に縮小しますし、トランプ氏とコネクションを持たないスターマー英首相が、歴史的なtrans-Atlanticの特別な関係を重視するためには、トランプ政権誕生後は、ある程度、アメリカのトランプ政権の方針に沿う形を取ることが予想されるため、米英の対ウクライナ支援もあと数か月の時限爆弾と見ることもできるかもしれません。

さらにウクライナにあまりよくない情報を挙げると、アメリカがこれまでに供与し、今回使用を許可したATACMSの在庫がウクライナにあまり残っていないことで、ウクライナ軍は今後あまり贅沢にATACMSを使用できないことと、退任までに数十億ドル規模の軍事支援を行う権限をすでに得ているバイデン政権ですが、ATACMSのストックをATACMSの後継の次世代兵器が揃うまではあまり出したくない陸軍当局の方針もあり、その方針を強硬に押し切ってでもウクライナに供与してしまうと、容易に「バイデン政権は、アメリカ国民の安全保障よりも、ウクライナを選ぶのか」という非難の的になりやすくなり、これはまた民主党に対する打撃にもなり得る非難となる恐れがあるため、残り2か月ほどの任期中にどこまでウクライナを支えられるかについての見通しは、あまりpromisingではないと思われます。

複数弾頭を内蔵するATACMSの小弾頭の雨がロシア軍に大きな損害を与える姿は、今回の使用時の映像でも見ることが出来、ウクライナの健闘に声援を送る人たちもいますが、恐らくATACMSがロシアに与える脅威・影響もあと少しとなるため、今後、ATACMSの使用法については、ウクライナ当局も非常に慎重にならざるを得ないと思われます(ロシアの戦略的な軍事拠点などに絞った攻撃など)。

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