「一本化」できなかったのは小沢一郎のせい。“政界の壊し屋”が連立政治イロハのイの字も知らぬ大問題

 

国民民主玉木代表の「103万円の壁」論では作れない政治の流れ

大きな柱の第2に、戦略を立体的に組み立てて、可視化すると言いますか、国民が一目見て「ああそういう方向に進もうとしているのか」とパッと分かるようにすることが大事です。

これは、今日配布されている『国民の進路』11月の拙稿にも〔また本誌No.1282「自民の事情通が囁く『事実上の森山政権』発言が炙り出した、石破茂政権“大嘘だらけ”の本質を見抜け!」などでも〕書いていることなので、簡略に述べますが、

(1)9月の自民党と立憲民主党の党首選からその直後の総選挙を経て来年7月の参院選までは「ひと連なり」の戦略局面である。

(2)その中心テーマは「安倍晋三政治からの完全脱却」、すなわち第2次安倍政権とそのエピゴーネンにすぎない菅義偉、岸田文雄の12年間を徹底的に総括しそれが残した害悪を完膚なきまでに取り除くことにある。それを成さない限り、この国は先に進むことができないという基本認識を国民が共有できるようにすべきである。

(3)それを具体的に議論していくのは3分野で、
(i)内輪だけで舐め合って利益を貪る縁故主義の政治体質。派閥の裏金問題はその一端で、モリカケサクラと言われながら隠蔽されたままの醜聞、統一教会との癒着なども同根、
(ii)アベノミクスの出鱈目の清算、
(iii)安倍の集団的自衛権解禁、岸田の43兆円防衛費など対米屈従をさらに深める軍拡路線の中止、
である。

(4)これらがある程度まで達成の見通しが立ったところで次の戦略局面に移ることになるが、そこでは、石橋湛山の「小日本主義」を理念にした与野党にまたがる大きな再編も浮上するかもしれない……。

このように全体を組み立てて、例えば裏金問題の究明はこの(i)の入り口として避けて通れないことなのだと位置付けるべきでしょう。今は全体の中のここを取り上げていて、そこを突破すると次にはこうステップアップできるのだというふうに持っていくことができれば、政治の流れを作っていくことができるでしょう。

その反対に、人々にとって受けが良さそうな或る結論だけを持ってきてキャッチフレーズ化し手軽に支持を集めようとするのがポピュリズムで、玉木さんの「103万円の壁」論はその典型と言えるでしょう。

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 「一本化」できなかったのは小沢一郎のせい。“政界の壊し屋”が連立政治イロハのイの字も知らぬ大問題
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け