斎藤元彦と立花孝志はやはり裏で繋がっていた?
先の政界ウォッチャーが続ける。
「さらにこのLINEグループには、立花孝志さんの街宣情報が投稿されていたとされるのも重要ポイントです。斎藤陣営は、立花さんとは面識すらなく、各種の嫌がらせやデマ拡散は立花さんが独断でやったことと説明してきました。それが実際には、『さいとう公式』を名乗るLINEグループ内で立花さんの情報が好意的に紹介され、管理者もそれを削除せず放置していたとなると、『やはり斎藤と立花は裏で繋がっていた』疑いが濃厚になってきます。
またLINEには、斎藤さんの支持者が東京や神奈川など、はるか遠方から夜行バスで駆けつける様子も残っていたようです。兵庫とまったく関係がない“部外者”による活発なSNS拡散や街宣参加は、サクラ役の動員によるバンドワゴン効果を狙ったものと考えられますが、これも兵庫県民にとってはショックが大きいのではないでしょうか」(前同)
いっぽうネット上の斎藤支持者の中には、『報道特集』に対して“捏造報道”と強く反発する人々も出てきている。もしこれが本当にフェイクニュースなら、それはそれで面白いことになるのは間違いない。
斎藤支持者としても、“オールドメディアの闇”を白日の下に晒すには、今回の刑事告発を受け入れて、斎藤知事の「SNS選挙」の全貌を明らかにしてしまうのが手っ取り早いという状況になっているのだ。
SNSのアルゴリズム攻略イコール民主主義になってはいけない
別の50代ネットメディア関係者は言う。
「かつての『ネットde真実』は、ネット上の怪しい情報を無批判に受け入れる人々を少し小馬鹿にしつつも、フェイク情報に気をつけるよう優しく促す表現でした。ところが今回の兵庫知事選ではそれがすっかり変質して、『ネットこそ真実』『SNSだけは信じる』という有権者が急増したのが特徴的です。
しかも、デマに脆弱なのはZ世代の若者だけかと思ったら、実際はまったくそうではありませんでした。自分と同世代の中高年や高齢者も『ネットで真実』を仕入れています。大人の麻疹(はしか)が重症化しやすいように、いい年になって“真実”に目覚めてしまうと取り返しがつかないことになると実感しました。
でも、考えてもみてください。SNSはたかが一民間企業、しかも海外企業が運営するプラットフォームにすぎません。そこは収益最大化を目的とした作為的なアルゴリズムが支配する世界です。選挙運動が行われる短期間であれば、ブラックハット的なあくどい手法で流行を作り出すこともできてしまいます。だからこそ“オールドメディアは嘘だらけ”であるならば“SNSは本当に違いない”という二元論的思考は本当に危ない。アルゴリズムを攻略することイコール民主主義になってはいけないと思うんです。
今回の刑事告発が受理され、公正な捜査によって斎藤知事の『SNS選挙』の全貌が明らかになることを願っています。その過程では“ネット工作の闇”が暴かれるかもしれないし、逆に“オールドメディアの闇”が暴かれるかもしれませんが、いずれにせよ有権者にはプラスになるでしょうからね」(ネットメディア関係者)
ネットの記事に「マスコミがひた隠す~」「新聞が報じない~」といった枕詞をつけるだけでPV(ページビュー)が増えるのは事実だ。これはマスコミ不信の裏返しで、“オールドメディアの自業自得”という面もたしかにあるだろう。
ただ、あえて付言すれば、「外部の報道機関を信用するな」は破壊的カルト集団が信者の洗脳に用いる手法でもある。私たちはまず「マスコミvs.SNS」という一見わかりやすい対立構造から脱却するべきなのかもしれない。
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image by: note – 折田 楓