「前原維新」と国民民主党は本当に意思疎通できるのか?
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、離党届が出された日の会見で、憮然とした表情を見せた。
「私たちは離党届をまだ受け取っていません。離党届を投函したらしいですね。政党交付金が目当てなのかわかりませんが、年の暮れに新党をつくろうとする。もう有権者はうんざりじゃないですか。残念だし寂しい気持ちがしましたね。昨日前原さんと話した時、(報道されているように)離党なんかするわけないよとみんなの前ではっきり言ってましたからね。代表や私にもなにも説明がない。筋が通らない」
前原氏の不誠実な離党の仕方に憤りを隠せない様子だった。おそらく榛葉幹事長には、「新党結成~維新への合流」という道筋を描く前原氏の腹のうちが見えていたのではないだろうか。前原氏は離党届を受理されず除名処分とされた。
前原氏は維新にしがみつくしか浮上のチャンスをつかむ方法はないと思っているのだろう。悪しざまにいえば、いずれ維新を“乗っ取る”くらいの意気込みなのかもしれない。だが、維新の国会議員団をしっかりまとめることが前原氏にできるのだろうか。所詮、維新生え抜きの議員から見ると前原氏は「よそ者」にすぎない。しかも、吉村代表ら大阪組の発言力は東京組を上まわっている。
要は、全てがこれからの実績しだいということになる。自らの手で国政における維新の政治的価値を上昇させ、前原なしに維新が成り立たないような状況に持っていくしかない。
前原氏は「非自民・非共産」の大きな塊による政権交代の必要性を唱えてきた。その実現には、まずは立憲、国民、維新がしっかり連携するための、相互の信頼関係がなにより大切だ。前原氏の過去の政治行動は障害とならないのか。
共同代表に選出されたあとの記者会見で、前原氏は、古巣の国民民主党について「昨日の敵は、今日の友。玉木代表、榛葉幹事長とも意思疎通ができる」と豪語した。むろん、これに対する榛葉幹事長の反応は冷ややかだった。
「どこかの記事に、(前原氏が)過去を乗り越えて共に協力していきたいとか書いてあったね。それって、こっちが言うセリフだよね。近いうちにご挨拶があるんだろうと思います。しっかり各党等距離で対応していきたいと思います」