「維国同盟」成立なら自公政権崩壊の可能性は十分
当然のことながら、石破首相にとっての最初の難関は新年度予算案を年度内、すなわち3月末までに成立させられるかどうかである。
もし、両党が共闘して当初予算案に反対する姿勢を見せれば、自公政権としては立憲民主党という選択肢にまで間口を広げなくてはならなくなる。財務省の増税路線を軸とした「自公立」大連立の可能性も囁かれるが、実際には、たやすいことではない。
立憲は企業・団体献金禁止法案を衆院に提出済みで、その取扱いについては3月末までに結論を出すという約束を与党側からとりつけている。まずは与党がこの法案に賛同しなければ、立憲との連携は不可能だろう。ところが、企業・団体献金によって圧倒的な資金を確保してきた自民党は、禁止法案をどうしても阻止したい立場だ。
一方、野党側はこぞって立憲のこの法案に賛成する可能性が出てきた。法案に「政治団体を除く」という“抜け道”があるのを懸念材料として国民民主が慎重姿勢を示してきたが、この文言が取り除かれれば、反対する正当な理由がなくなる。
3月末といえば、まさに新年度予算案が成立するかどうかの瀬戸際だ。全野党が求める法案を与党がはねつけ、その結果、予算案が年度内に成立しなければ、党内外から石破首相の責任論が湧き上がるだろう。
1994年4月に誕生した少数与党の羽田内閣は、5月になっても新年度予算の審議に入ることができず、暫定予算で急場をしのいだ。新年度予算が成立したのはなんと6月23日にまでずれ込んだ。野党の自民党は内閣不信任決議案を提出し、同党と社会党の賛成多数で可決。羽田首相は内閣総辞職に追い込まれた。
それと同じように、少数与党の石破政権に対して、野党が結束して内閣不信任決議案を出し、衆院解散、衆参ダブル選挙に持ち込んで、一気に政権交代をねらうというシナリオも全く考えられないわけではないのだ。