人々が強く信じることで現実化する「予言の自己成就」
このように、いったん、その情報を信頼して受け入れれば、人はそれを親しい家族や仲間と「共有」しようとしますから、情報は次々に「拡散」され、多くの人が信ずる「噂」となって、世の中に影響を与えるレベルにまで膨れ上がります。
オカルト的な根拠の有無にかかわらず、こうしたカタストロフ的な予言を多くの人が信ずることにより、結果的に、世の中に災厄が生じてしまうことがあります。
これを「予言の自己成就(じこじょうじゅ)」と呼びます。
たとえば、「大手の○○銀行が潰れる」というもっともらしい予言?があったとします。最初は「まさか・・・」「そんなバカな」と噂を信じなかった〇〇銀行の預金者たちも、ネットなどに「経営危機」の噂が流れ、周囲の人間からも「これこれの理由であの銀行は危ないそうだ」「来月あたりに何かあるのでは?」といった話を聞かされるようになると、だんだん不安になってしまいます。
そして、実際に親戚のオジサンが○○銀行の預金を別の銀行に移したことをきっかけに、その人は慌てて預金を引き上げてしまいます。
こうした反応が次々に起これば、銀行側の対応も追い付かなくなり、そうした情報が拡散されると預金者たちはパニックに陥ります。
そして、我先にと人々は銀行に押しかけるのです。いわゆる「取り付け騒ぎ」です。実際、こうした「取り付け騒ぎ」が原因になり倒産した銀行もありました。
たとえ経営危機の情報がまったく根拠のない無責任な噂であったとしても、それが実際の銀行倒産という悲劇的な現実を招来してしまうことがあるのです。これが「予言の自己成就」です。皆が信じたことで予言が現実化するのです。