自民党内部でも見られぬ「石破首相を引きずり降ろす」動き。現政権がまだまだ続きそうだと言える理由

 

「ポスト石破」として浮上してくる政治家の名

野党にすれば自らが提案した部分的改良案を政府・与党が飲めば、内閣不信任案を提出する大義はなくなる。昨年の臨時国会で立憲民主党が能登復興の予算を飲ませたものの補正予算案に反対した方針は、本予算への対応の予行演習ともいえる。国民民主党が本予算に賛成すれば立憲民主党などが反対しても衆議院を通過する。

政府・与党と野党の対応いかんだが、本予算は国会で承認され、内閣不信任案も提出されないなら、石破茂政権は続いていく。自民党内部でも石破茂総理を引きずり降ろす動きも見られない。

麻生太郎議員は次の選挙で長男を後継に据える意向であり、菅義偉元総理も体調不良で生気がない状況が続いている。昨年末に脳梗塞を発症し、リハビリを続けているが、一進一退だ。もっとも側近は「脳梗塞ではなくうつ気味なのだ」と強調している。官房長官や総理のときは「つねにリスクを取ってきた」が、いまやそんな緊張がないので精神的問題なのだと説明する。

茂木敏充議員も旧派閥では小渕優子議員への支持が増えつつある。旧安倍派議員も総選挙で35人が落選(自民党で落選したのは58人)したため、衆議院では第5勢力に凋落してしまった。萩生田光一議員が「総理をめざす」(『文藝春秋』2月号)と思うのは自由だが、裏金・統一教会問題の汚点は消えないから、ただの願望に終わるだろう。「政治家として地獄を見た」(同前)者に未来はない。

しかしやがて石破政権にも終わりが来る。そのときに浮上するのは安倍晋三路線を踏襲する高市早苗議員ではなく林芳正官房長官だ。政治家として面白みはないが安定感はある。

石破政権を自民党政権陥落の画期とすることができるのか。立憲民主党や国民民主党の総選挙での躍進を自民党の敵失と判断すれば、通常国会での野党の責務は大きいものがある。

(本記事は有料メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2025年1月17日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、初月無料の定期購読にご登録の上お楽しみください。このほか、1ヶ月単位でバックナンバーもご購入いただけます)

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ジャーナリスト、テレビコメンテーター。立憲民主党所属の元参議院議員(2期)。出版社に勤務後、フリージャーナリストとして「朝日ジャーナル」「週刊文春」など霊感商法批判、統一教会報道の記事を手掛ける。1995年から2007年まで、日本テレビ「ザ・ワイド」に12年間レギュラー出演。2010年には民主党から立候補、参議院議員となり、北朝鮮拉致問題、差別、ヘイトスピーチ問題などに取り組む。「北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実」(集英社新書)、「改訂新版 統一教会とは何か」(大月書店)など、著書多数。

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