103万円の壁見直しは「年収200万円以下に限る」だと?解き放たれた公明党が「自民案にガチギレ」する本当の理由

 

「生活者のために」だけではない公明党の党内ウラ事情

昨年12月11日に自民、公明、国民三党の幹事長は以下の内容で合意した。

いわゆる「103万円の壁」は、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる。いわゆる「ガソリンの暫定税率」は、廃止する。

しかし、宮澤洋一氏を会長とする自民党税調はこれを無視。178万円にはるかに及ばない123万円を提示し、国民民主側の意向など頓着せず翌年度の与党税制改正大綱に盛り込んだ。

むろん国民民主党がこれをのむわけはなく、決着がつかないまま年を越えた。通常国会が始まっても、石破茂首相は「150万円程度への引き上げを検討」という一部報道を完全否定。与党側から新たな提案が出てくるかどうかも判然としない状況が続いた。

日本維新の会の主張する「高校授業料無償化」と国民民主の「103万円の壁」を両天秤にかけ、場合によっては、コストが安くて済む維新の政策を選択することによって政府・与党は当初予算案の衆議院通過をはかろうとしているのではないかという憶測もメディアで取りざたされていた。

18日、国民の榛葉幹事長と会談した後、公明の西田幹事長は記者たちを前に、こう語った。

「今日は何が決まったというほどではないが、103万円の壁を178万円に引き上げる、またガソリンの暫定税率を廃止するという二つの合意、とりわけ前者については交渉の進展が見られない。公明党としては、自民党にも声掛けを加速化して合意作りに動き出そうということで呼吸合わせをした」

公明党がこれから大急ぎで自民党への働きかけを強める“宣言”といえた。自民党の回答を待っていたのでは埒が明かない。公明党が動き出すチャンスだった。「150万円台」あたりなら決着する可能性があり、そうなると積極的に動いた公明党の手柄にできる。今夏の参議院選や東京都議選にもプラスになる。そんな計算が働いたはずだ。

国民の榛葉幹事長は「公明党さんは永田町や霞が関の論理ではなく、より生活者の実態に寄り添っている」と西田幹事長を持ち上げた。同志的意識のようなものが生まれていたのかもしれない。

だが、公明の動きには、党の事情が深くからんでいると見るのが自然だ。

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