石破自民を“折伏”できねば公明党は選挙で負ける
昨年の衆議院選で、公明党は公示前32議席から24議席に後退、比例区の総得票数も前回比114万9867票減の596万4415票に終わった。かつて衆院比例で900万近くもの票を獲得したことを考えると、支持母体「創価学会」の会員数減少と高齢化が進む公明党の退潮傾向は明らかだ。
公明党は党のウエブサイトで、「自民の『政治とカネ』逆風のあおりを受けた」「自公連立政権に国民の厳しい審判が下された」と衆議院選の結果を評した。
自民党べったりの姿勢を続けていては、先が危ない。そんな空気が公明党内に渦巻いている。
自民党との長期にわたる連立関係がもたらす弊害によって、「平和」「福祉」を尊ぶ党の独自性が薄れてきた。最強の選挙マシーンといわれる創価学会婦人部の不満は大きい。
そうした公明党の現状を反映したと見られるのが、朝日新聞の単独インタビュー(1月22日)に対する斉藤鉄夫代表の発言だ。
公明党の推進する選択的夫婦別姓の法制化について「実現しなければ、連立離脱もあり得るか」と問われたのに対し、斉藤氏はこう答えた。
「何があっても自公連立は崩しません、ということはない。我が党が譲れないもので意見が対立し、合意が得られなかった場合に連立離脱というのはあり得る。そういう緊張感をもって自民もやってくれていると思うし、我々も緊張感をもってやっている」
公明党を重視するように促す一種の脅しであるには違いない。選挙協力を通じて互いに依存関係を深めてきた自公両党。その“腐れ縁”は簡単に解消できるものではないだろう。
だが今、自公連立という枠内に埋没してしまっては、公明党の存在感はさらに低下し、今後の選挙に響いてくるに違いない。政策実現で存在感をアピールしたいという切羽詰まった思いが斉藤氏の発言ににじんでいた。